ヴィーブヘルスケア、CROI 2025でHIV感染症における持効性注射レジメンであるカボテグラビル+リルピビリンの有効性を示すリアルワールドデータを発表
- HIV感染症治療薬として承認された持効性注射レジメンであるCabenuva(カボテグラビル+リルピビリン 注射剤(CAB+RPV LA))のデータは、2つのリアルワールド研究で有効性を示した
この資料は、英国ViiVが2025年3月12日に発表したプレスリリースを一部変更した日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細はhttps://viivhealthcare.com/をご参照ください。
2025年3月12日 英国ロンドン – GSK、ファイザー、塩野義製薬が資本参加するグローバルな HIV 領域のスペシャリスト・カンパニーであるヴィーブヘルスケアは、持効性注射治療レジメンとして承認されているCAB+RPV LAのリアルワールドデータを発表しました。このことは本製品の上市後3年間における有効性が実証されたことを示しています。
これらのデータは、米国サンフランシスコで開催されたレトロウイルスおよび日和見感染症に関する会議 (CROI 2025)で発表されました。
ヴィーブヘルスケアの最高医療責任者であるハーモニー・P・ガージェス医学博士は次のように述べています;
「持効性注射剤のリーダーとして、私たちはHIV領域におけるファースト・イン・クラスの医薬品が実臨床での有効性や忍容性を理解するためのデータの収集に取り組んでいます。私たちは、HIV感染症治療のためにCAB+RPV LAを投与された15,000人以上の人々の実臨床でのデータの蓄積があり、最大2年間にわたって有効性が維持されることを示しています。CROI 2025におけるデータは、幅広い環境と集団において、当社の持効性注射剤がHIV感染症治療に効果的な選択肢を提供し、毎日服薬する必要性をなくすことができることを裏付けています。」
NYUグロスマン医科大学医学部AHFヘルスケアセンターのメディカルディレクターであるリッキー・スー医学博士は次のように述べています;
「無作為化臨床試験は医薬品の安全性と有効性を検証するためのゴールドスタンダードである一方で、リアルワールドエビデンスは、治療の安全性と有効性を経時的に完全に理解することができるものです。ヴィーブヘルスケアが持効性注射剤を導入して以来、これらの貴重な洞察を生み出すことは、医療従事者が特定の医薬品からどの患者さんが恩恵を受けるかを決定し、HIVとともに生きる人々の日常的なニーズにどのように対処するかをよりよく理解するために、これまで以上に重要になっています。」
ヴィーブヘルスケアの持効性注射剤Cabenuvaのリアルワールド研究のハイライト:
OPERAのリアルワールドデータは、幅広い集団でCAB + RPV LAの有効性を示す1.2
2つのOPERA解析のうち1つ目の解析では、CAB+RPV LAでウイルス学的に抑制された多様な参加者(42%:黒人、30%:ヒスパニック系)を対象に、2年間にわたる長期的な有効性を調べました。
CAB + RPV LAに切り替えた参加者におけるこの大規模な米国のコホート(n=2,485)では、追跡期間の中央値が11ヶ月(IQR:6-18ヶ月)で、95%がウイルス学的抑制を維持し(最終的なウイルス量(VL) <50 c/ml)、中央値7ヶ月後に確認されたウイルス学的失敗(CVF)を経験した参加者は1%(n=21)でした。24ヶ月間において、BMIカテゴリー(<30 kg/m2、≥30 kg/m2)によらず、結果は一貫して同様でした。1
2つ目の解析では、ウイルス学的に抑制されたHIV陽性の女性381人の多様なグループを対象とし、追跡期間の中央値は12ヶ月(IQR:7-19ヶ月)で、94%が最終的にウイルス抑制を維持し、CVFは<1.3%(n≤5)でした。2
Trio Health コホートで観察されたウイルス抑制率の高さ3
Torio Healthコホートでは、928米国の実臨床下でCAB + RPV LA投与を開始したウイルス学的に抑制された928人の参加者を追跡しました。初回注射後の追跡期間の中央値(IQR)は12ヶ月(5-19ヶ月)で、89% (n=6176/6934)が投与スケジュールの遅延なく(ターゲット投与日の<7日後)投与されました。CAB+RPV LAの参加者の95%がウイルス抑制(最終VL <50 c/mL)を維持し、1.6%(n=15)でCVFが報告されました。
これらの結果は、幅広い背景をもつ集団におけるCAB+RPV LAの有効性を裏付けるリアルワールドエビデンスに追加されます。
Cabenuva (カボテグラビル+リルピビリン) について
Cabenuvaは、治療失敗の既往がなく、安定した抗HIV治療によりウイルス学的抑制(HIV-1 RNA量 <50 c/mL)を得られ、カボテグラビルまたはリルピビリンのいずれかに対する既知または疑われる薬剤耐性関連変異のない患者を対象とした成人HIV-1感染症の治療として適応を取得している持効性注射レジメンです。
この持効性注射レジメンは、ヴィーブヘルスケアが開発したインテグラーゼ阻害剤(INSTI)カボテグラビルと、Janssen Sciences Ireland UCが開発した非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)であるリルピビリンを組み合わせたものです。なお、リルピビリンの錠剤は1日1回投与の25㎎の錠剤として承認されており、カボテグラビルと併用する場合、12歳以上で体重35㎏以上のHIV-1感染症患者を対象に短期間使用されます。
カボテグラビルを含むINSTIは、ウイルスDNAがヒト免疫細胞(T細胞)のDNAへの組み込みを阻害することによりHIVの複製を阻害します。この過程はHIVの複製に不可欠で、慢性感染の成立に関与します。リルピビリンはNNRTIであり、逆転写酵素と呼ばれる酵素を阻害することにより、ウイルスの複製を阻害します。
商標はヴィーブヘルスケアのグループ会社が所有またはライセンス供与しています。
本邦におけるカボテグラビルおよびリルピビリンの持効性注射レジメンはボカブリア水懸筋注とリカムビス水懸筋注として発売されており、概要は以下の通りです。
ボカブリア水懸筋注(カボテグラビル)とリカムビス水懸筋注(リルピビリン)の効能・効果、用法・用量について4
ボカブリアとリカムビスの持効性注射剤の併用は、ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前の6ヶ月間以上においてウイルス学的抑制が得られており、カボテグラビル及びリルピビリンに対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される既治療のHIV-1感染患者を対象とし、1ヶ月または2ヶ月に1回投与する持効性治療レジメンです。1回の診療時に医療従事者が2種類の注射剤を臀部にそれぞれ筋肉内注射します。注射治療を開始する前に、カボテグラビルとリルピビリンの錠剤を約1ヶ月間(少なくとも28日間)を目安に経口投与し、薬剤に対する忍容性を評価します。
詳細は最新の添付文書を参照ください。
ViiV Healthcareについて
ヴィーブヘルスケアは、GSK (LSE: GSK)およびファイザー (NYSE: PFE)によって2009年11月に設立された、抗HIV薬に特化したグローバル・スペシャリストカンパニーです。2012年10月に塩野義製薬株式会社が10%の持ち分を取得しました。ヴィーブヘルスケアは、どの会社よりも、HIV/AIDSについてより深い、幅広い関心を持つことで、新たなアプローチで効果的な新規のHIV治療薬を提供し、HIVの影響を受けているコミュニティを支援することを目指しています。詳細は、https://viivhealthcare.com/ja-jp/をご覧ください
GSKについて
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com をご参照ください。
参考
- Sension M, et al Long-term CAB+RPV LA Effectiveness in Virologically Suppressed Individuals in the OPERA Cohort. Presented at the Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections (CROI 2025), 9-12 March, San Francisco, CA
- Altamirano J, et al. Clinical outcomes Among Virologically Suppressed Women Receiving CAB+RPV LA in the OPERA Cohort. Presented at the Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections (CROI 2025), 9-12 March, San Francisco, CA
- Sax P, et al. Outcomes on Cabotegravir + Rilpivirine in Suppressed People with HIV (PWH) in TRIO Health US Cohort. Presented at the Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections (CROI 2025), 9-12 March, San Francisco, CA
- ボカブリア水懸筋注400mg/600mg、ボガブリア錠30㎎ 各添付文書 第4版