ヴィーブヘルスケアのPosItIve PerspectIves 3調査:HIV陽性者の半数が医療従事者との信頼関係が高いにもかかわらず、自分の声が届いていないと感じていることが判明

  • HIVと共に生きる人々を対象とした国際調査Positive Perspectives 3の中間解析データによると、新たな治療法を検討する際に医療従事者と治療方針を共同で決定していない人が約35%にのぼることが判明
  • 高い認知度にもかかわらず、「検出限界値以下=感染しない(Undetectable = Untransmittable)」という概念への信頼が不十分であることもデータから明らかに

この資料は英国ViiVが2025年5月27日に発表したプレスリリースを一部変更した日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細はhttps://viivhealthcare.com/をご参照ください。

2025年5月27日英国ロンドン – GSK、ファイザー、塩野義製薬が資本参加するグローバルな HIV 領域のスペシャリスト・カンパニーであるヴィーブヘルスケアは、HIVと共に生きる人々(HIV陽性者)を対象としたPositive Perspectives 3調査(ポジティブ・パースペクティブ 3調査 , PP3)の中間解析データを発表しました。初期の結果では、医療従事者(HCP)を信頼する人の割合が高い一方で、コミュニケーションのギャップが存在することが示されています。多くの人は、医療従事者に話を聞いてもらえないと感じることがあると回答し、現在の抗レトロウイルス(ART)レジメンについて一緒に決定を下さなかったと回答しました。ARTレジメンに満足している人は、意図的に投薬をスキップする可能性が低く、全体的な健康状態が良好であると報告する傾向がみられました。

ヴィーブヘルスケア 患者エンゲージメント責任者であるネカ・ヌウォコロは、次のように述べています;

「約10年前に開始されたPositive Perspectives調査は、HIVと共に生きる人々の考え方、感じ方、生活に焦点を当てた数少ない国際調査の一つです。その最新の調査結果は明確で重要なメッセージを伝えています。医療従事者への信頼は依然として高いものの、自分のケアに関する意思決定から排除され、自分の声が届いていないと感じている人があまりにも多く存在しています。このようなコミュニケーションギャップは、HIVと共に生きる人々が自らのケアや治療の選択に関与したいと望んでいる今、特に懸念されるものであり、患者と医療チームとの間に、より開かれた協働的な関係を築く必要性を改めて浮き彫りにしています。」

南カリフォルニア大学ケック医科大学(USC)ストリートメディシン部門 家庭医学 臨床教授のデビッド・ハーディ博士  は次のように述べています;

「HIV治療が進化・改善を続ける中で、HIVと共に生きる人々と医療従事者との間に強固なパートナーシップを築くことは、これまで以上に重要になっています。PP3のデータは、医療従事者が患者とウイルス抑制だけにとどまらない意味のある対話を行う必要性を浮き彫りにしています。こうした対話は、HIVと共に生きる人々が自らのニーズ、希望、目標、自信を持って医療従事者に伝えられるようにするものです。“検出限界値以下=感染しない(Undetectable = Untransmittable)”といった重要な概念をHIV陽性者が正しく理解することは、このような対話を実現するために不可欠であり、HIVケアの質を高め、HIVと共に生きる人々がより健康で充実した生活を送れるよう支援することにつながります。」

Positive Perspectives 3調査(PP3)は、HIVと共に生きる人々の経験を捉え、広く伝えることを目的に、世界中のコミュニティ代表者と共同で実施されました。

PP3の中間分析には、16か国698人が参加しており、最終的には29か国3,000人以上が参加する、HIV陽性者を対象とした最大規模の調査の一つとなる予定です。

このPP3の最初の調査結果は、2025年5月26日から28日にモロッコ・カサブランカで開催された第16回AIDSImpact会議にて3つの一般口演として、また6月12日から14日に東京で開催された第10回アジア太平洋エイズ・共感染症会議(APACC)にて口演およびポスターセッションで発表されました。

共同意思決定(Joint Decision-making)は、治療およびケアに対する満足度の向上と関連していた:

調査対象者の80%(n=558/698)はHCP対して高い信頼を寄せていると回答した一方で、47.5%(n=331/698)は「医療従事者に自分の声が届いていないと感じることがある」と答え、34.8%(n=243/698)は「新しい治療法を検討する際に共同で意思決定をしていない」と述べました。これらの結果は、患者と医療従事者の対話を強化し、協働的な意思決定を促進する必要性を浮き彫りにしています。

治療満足度が高いほど、HIV陽性者の精神的、身体的、性的、および全体的な健康状態が良好である傾向がみられた:

抗レトロウイルス療法(ART)に満足している人は、意図的に服薬をスキップする可能性が低く、全体的な健康状態が良好であると報告する傾向がありました。大多数の人がARTレジメンに満足していると答えた一方で、治療に満足している人々は、一貫して自己評価による健康状態や最適な服薬遵守の指標が良好であると報告しています。しかし、大多数の人が抗レトロウイルス療法(ART)に満足していると答える一方で、約半数が感情的な疲労、スティグマ(偏見)に対する懸念を抱いていると報告しています。また、ARTの長期的な影響に対する懸念(53%, n=374/698)、治療に関連する体重増加(48.6%, n=339/698)、および毎日の服薬によってHIVを思い出させられることへの不快感(43.2%, n=301/698)について多くの人が懸念を示しました。

参加者の3人に1人が過去12か月間に服薬を1回以上忘れたと答えており、4人に1人は意図的にARTの服薬をスキップしたと報告しています。意図的な服薬スキップは、50歳以上の成人においてより一般的でした。これらのデータは、ARTレジメンを選択する際に患者の希望や懸念を考慮することの重要性、そして継続的な見直しの必要性を浮き彫りにしています。

「検出限界値以下=感染しない(U=U)」の知識と信頼には依然として改善の余地がある:

調査対象者の93.7%(n=654/698)は、U=U(治療により血液中のHIV-RNA量が検出不能な状態であれば、性行為によってHIVが他者にうつることはない)という概念を認知していると回答しました。しかし、そのうちU=Uを「信じている」と答えた人は半数にとどまりました。U=Uを信じている人は、他者とHIVステータスを共有する傾向が高く、HIVが人間関係に影響を与えたと報告する傾向が低いことがわかっています。これらのデータは、信頼できる情報源を通じてU=Uのメッセージをより広く普及させる必要性を強調しています。

Positive Perspectives調査について

Positive Perspectives調査は、HIVと共に生きる人々を対象とした、ヴィーブヘルスケアが主催する国際的な横断的調査シリーズであり、世界中のコミュニティ代表者と共同で実施されています。この調査データは、公衆衛生に関するメッセージの認知向上、重要なコミュニティ活動の推進、そしてHIVケアの改善に貢献してきました。                                                                      

今回の第3回目の調査では、29か国からHIV陽性者、HIV患者支援団体の関係者、HIV陽性の若者を含む3,000人以上が参加予定です。調査結果は、HIVと共に生きる人々の声をさらに広く届けるために活用され、医療従事者や医療制度内の関係者に向けて、治療・ケア・成果の改善を目指したコミュニケーションの強化に役立てられます。

AIDSImpactおよびAPACCで発表されたデータは、Positive Perspectives 3調査の初期の結果であり、アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、カナダ、チリ、コロンビア、アイルランド、イタリア、メキシコ、ポーランド、南アフリカ、韓国、スイス、台湾、イギリス、アメリカの16か国からの698人の参加者による洞察が含まれています。
調査は今後も参加者の募集を継続し、最終的なデータは後日発表される予定です。

AIDSImpactについて

AIDSImpactは、5月26日から28日までモロッコのカサブランカで開催された国際的な行動科学および生物心理科学に関する会議です。この隔年開催の会議では、HIV/エイズの予防、治療、ケアに関連する課題が取り上げられ、世界的な視点とHIV/エイズの影響を最も受けている特定の地域や特定のコミュニティに焦点を当てています。

APACCについて

APACC(アジア太平洋エイズ・共感染症会議)は、6月12日から14日まで東京で開催されたアジア太平洋地域におけるHIV/AIDSと共感染症に関する最新の研究成果や課題、ニーズに焦点を当てた国際会議です。研究者や医療専門家が集まり、講演や症例検討、討論を通じて、治療の最適な実践方法やガイドラインの共有を目指しています。

ヴィーブヘルスケアについて

ヴィーブヘルスケアは、GSK (LSE: GSK)およびファイザー (NYSE: PFE)によって2009年11月に設立された、抗HIV薬に特化したグローバル・スペシャリストカンパニーです。2012年10月に塩野義製薬株式会社が10%の持ち分を取得しました。ヴィーブヘルスケアは、どの会社よりも、HIV/AIDSについてより深い、幅広い関心を持つことで、新たなアプローチで効果的な新規のHIV治療薬を提供し、HIVの影響を受けているコミュニティを支援することを目指しています。詳細は、https://viivhealthcare.com/ja-jp/をご覧ください

会社、マネジメント、ポートフォリオ、パイプライン、コミットメントに関する更なる情報は、www.viivhealthcare.com をご覧ください。

GSKについて

GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com をご参照ください。

参照

  1. Patel R, et al. AIDSImpact 2025. Oral presentation 82508