ヴィーブヘルスケアのデータによると、未治療のHIV陽性者の89%が迅速なウイルス抑制達成後、毎日の服薬治療から持効性注射治療レジメンであるカボテグラビル+リルピビリンへの切り替えを選択
- 複数のリアルワールド研究により、持効性注射レジメンであるカボテグラビル+リルピビリン (CAB+RPV LA、ボカブリア水懸筋注+リカムビス®水懸筋注) の高い有効性は、幅広い集団で一貫して示された
- Apretude (カボテグラビル注射剤 (CAB LA)のHIV曝露前予防投与(PrEP)) の実装科学データによると、参加者の 95% が経口 PrEP 製剤から CAB LA に切り替えたことに満足を示した
この資料は英国ViiVが2025年7月16日に発表したプレスリリースの日本語抄訳であり、報道関係者各位の利便性のために提供するものです。この資料の正式言語は英語であり、その内容およびその解釈については英語が優先されます。詳細はhttps://viivhealthcare.com/をご参照ください。
2025年7月16日 英国ロンドン – GSK、ファイザー、塩野義製薬が資本参加するグローバルな HIV 領域のスペシャリスト・カンパニーであるヴィーブヘルスケアは、未治療のHIV陽性者の89%(n=129/145)が、毎日服薬の ドルテグラビル/ラミブジン(DTG/3TC、ドウベイト配合錠)による迅速なウイルス抑制達成後、持効性注射レジメンであるカボテグラビル+リルピビリン(CAB+RPV LA、ボカブリア水懸筋注+リカムビス®水懸筋注)への切り替えを選択したことを示す第IIIb相VOLITION試験のデータを発表しました。さらに他のリアルワールドデータからも、CAB+RPV LAの有効性が幅広い集団において裏付けられています。これらのデータは、ルワンダ・キガリで開催中の第13回HIV科学会議(IAS 2025、7月14日から17日まで開催)で発表されました。
ヴィーブヘルスケアの最高医療責任者でMBChB、MFPMのJean van Wyk氏は次のように述べています;
「VOLITION試験のデータは、HIVケアの選択肢を提供することにより、進化する日常のニーズを満たす医薬品を選択する力を患者さん個人に与えることを裏付けるものです。ViiVはHIV領域における持効性注射剤のパイオニアであり、当社のポートフォリオが幅広い環境や集団に与えている影響を示す3年以上にわたる確固たるリアルワールドエビデンスを提供しています。 持効性注射レジメンは、高い有効性と忍容性、そして毎日の経口剤治療と比べ、アドヒアランスの向上および希望に沿った投与スケジュールといった選択肢を提供します。私たちは、持効性注射剤がHIV感染症の治療および予防の重要な役割を果たすと信じており、HIV/エイズの終息という私たちの目標を達成において、極めて重要な存在になると考えています。」
IAS 2025 におけるヴィーブヘルスケアとパートナーの研究データの概要:
未治療のHIV陽性者の89%が、迅速なウイルス抑制達成後に、CAB+RPV LAを選択:
第IIIb相VOLITION試験におけるこれらの新しいデータは、DTG/3TCによる毎日の服薬治療を開始し、ウイルス抑制達成後にCAB+RPV LAに切り替える選択肢を提供された、未治療のHIV陽性者における経験を評価している。研究結果によると、参加者はDTG/3TCで迅速なウイルス抑制を達成し(抑制までの期間の中央値: 4.14週間)、その後、切り替えを提案されました。ウイルス抑制後の次の来院時(治療選択日)では、適格であった参加者の 89% (n=129/145) が CAB+RPV LA への切り替えを選択し、11% (n=16) が DTG/3TC の継続を選択しました。CAB+RPV LAを選択した最も一般的な理由は、毎日の服薬を忘れる心配がないこと(80%)、薬を持ち歩く必要がないこと(68%)でした。これらの知見は、迅速なウイルス抑制を可能にする選択肢としてDTG/3TCの有効性と忍容性を裏付けるものであり、個々のニーズや希望に応じた代替治療としてCAB+RPV LAを提供することの価値を示しています 1。
CAB+RPV LAはリアルワールド環境において持続的な有効性と患者体験の向上を実現:
米国で実施された2年間のBEYOND試験、ドイツのCARLOS試験、欧州7ヵ国にまたがるCOMBINE-2コホート、そしてOPERA試験を含む複数のリアルワールド観察研究のデータにより、CAB+RPV LAの高い有効性、良好な治療成績、そして患者満足度の高さが一貫して裏付けられています2、3、4、5、6、7。
BEYONDは、CAB+RPV LAへの切り替えを決定したHIV陽性者を対象に、米国の27施設で実施された2年間の前向き観察研究です2。 308名の参加者のうち、97%が24ヶ月時点でウイルス学的抑制を維持しており(最新のウイルス量が50コピー/ ml未満)、注射部位反応や疼痛による中止は少なく、6ヶ月目以降に新たに確認されたウイルス学的失敗は観察されませんでした。参加者からは、スティグマの軽減や治療満足度の向上が報告されました3。
同様に、ドイツで実施された351名のHIV陽性者を対象としたリアルワールドのCARLOS試験では、24ヶ月時点で77.5%のウイルス学的抑制を維持しており、注射治療のアドヒアランスは94.2%(予定期間内の施注)であり、治療満足度においても臨床的に意義のある改善が見られました4。 また、24ヶ月時点または治療中止時点での最新のウイルス量において、97.7%の参加者がウイルス抑制を維持していました。
欧州7ヵ国にまたがる956名のウイルス抑制中のHIV陽性者を対象にCAB+RPV LAのリアルワールドでの治療成績を評価したCOMBINE-2研究において、中央値10.2ヶ月の追跡期間で、99%が最新のウイルス量においてウイルス抑制を維持しており、ウイルス学的失敗の割合は0.5%で、治療継続率は92%と高い水準を示しました5。
ウイルス血症患者における適応外*でのCAB+RPV LAの有効性に焦点を当てたリアルワールドエビデンス:
大規模なOPERA研究では、ウイルス量が検出可能な状態で治療を開始した既治療のHIV陽性者におけるCAB+RPV LAの有効性がさらに検証されました。3,304名の参加者のうち11%(368人)がベースライン時にウイルス量が50コピー/mL以上であり、そのうち88%(n=277/313、追跡期間中に1回以上ウイルス量の測定があり、いずれかの時点で50コピー/mL未満を達成)がウイルス抑制を達成しました。
また、別の解析では、ウイルス量が検出可能な状態でCAB+RPV LAによる治療を開始した105人の多様な女性グループにおいて、92人が追跡期間中に1回以上ウイルス量を測定し、そのうち92%がいずれかの時点で50コピー/mL未満を達成しており、ウイルス学的失敗の確認はほとんどありませんでした6,7。
これらの知見を通じて、CAB+RPV LAは、毎日の経口服薬に関連する課題に対応し、治療満足度の向上、高い有効性、および長期的なウイルス学的抑制をサポートする、患者に好まれる治療選択肢であることが示されました。
*なお、本治療レジメンの適応症はウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前の6ヶ月間以上においてウイルス学的抑制が得られており、カボテグラビル及びリルピビリンに対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される既治療のHIV-1感染患者です10。
主要な予防対象集団にとってCAB LA for PrEPが高く支持され、導入も容易であることを示す実装研究:
PILLARおよびEBONI研究は、HIV曝露前予防投与を目的としたカボテグラビル持効性注射剤(CAB LA for PrEP)が、男性と性交渉を持つ男性(MSM)、トランスジェンダー男性(TGM)、黒人女性を含む幅広い集団において、HIV感染予防の手段として高い受容性と実現可能性を有していることを示しています8、9。
PILLAR試験は、米国の17ヵ所のクリニックにおいて、MSMおよびTGM (n = 201)を対象にCAB LA for PrEPの導入を評価する第IV相実装試験です。 CAB LA for PrEPは、12ヶ月時点で高い受容性(平均4.6/5)と実現可能性(平均4.4/5)があると評価されました。経口PrEPから切り替えた参加者の95%(n=131)がその選択に満足し98%(n=140)がCAB LA for PrEPを他者に勧めたいと回答しました。柔軟なスケジューリング、リマインダー、教育ツールがアドヒアランスの維持をサポートし、経口PrEP使用者と比較してスティグマに関する懸念も大幅に低下しました。
同様に、EBONI試験は、米国の女性ヘルスクリニックにおけるシスジェンダー及びトランスジェンダーの黒人女性を対象にCAB LA for PrEPの導入を評価した実装研究であり、15ヵ所のプライマリ・ケアおよび感染症クリニックに勤務する72人の医療従事者からの回答をもとに実施されました。この研究では、CAB LA for PrEPが黒人女性にとってとても適切(平均4.5/5)かつ実現可能(平均4.4/5)であると評価されました9。 さらに、CAB LA for PrEPを提供できる診療体制は、スタッフ数や時間的負担を増やすことなく1年以内に3倍に拡大しました。2ヶ月ごとの通院により、性感染症や併存疾患のスクリーニング、その他の健康・心理的ケアの機会も増加しました。
これらの知見は、Apretudeが多様な臨床現場において、より広範なPrEP導入を支援し、最も恩恵を受ける可能性のある、支援が行き届きにくい集団のアウトカム改善に貢献する可能性を示しています。
なお、本邦におけるカボテグラビルおよびリルピビリンの持効性注射レジメンはボカブリア水懸筋注とリカムビス®水懸筋注として発売されており、概要は以下の通りです。
ボカブリア水懸筋注(カボテグラビル)10 とリカムビス®水懸筋注(リルピビリン)について
ボカブリアとリカムビス®の持効性注射剤の併用は、ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前の6ヶ月間以上においてウイルス学的抑制が得られており、カボテグラビル及びリルピビリンに対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される既治療のHIV-1感染患者を対象とし、1ヶ月または2ヶ月に1回投与する持効性治療レジメンです。1回の診療時に医療従事者が2種類の注射剤を臀部にそれぞれ筋肉内注射します。注射治療を開始する前に、カボテグラビルとリルピビリンの錠剤を約1ヶ月間(少なくとも28日間)を目安に経口投与し、薬剤に対する忍容性を評価します。
詳細の情報は、両剤の電子添文を参照ください。
ドウベイト配合錠について 11
本剤は、インテグラーゼ阻害薬(INSTI)であるドルテグラビル(テビケイ、50mg)と、核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)であるラミブジン(エピビル、300mg)の1 日 1 回投与の 2 剤治療レジメン配合錠です。
ドウベイト配合錠(ドルテグラビル50mg/ラミブジン300mg錠)は、INSTIおよびラミブジンのいずれに対する薬剤耐性関連変異が認められていない12歳以上で体重40kg以上の成人及び青少年におけるHIV-1感染症の治療に対してEUで承認されています。米国では、ドウベイト配合錠は、ドウベイト配合錠のいずれの成分に対する薬剤耐性関連変異が認められていない、抗レトロウイルス(ARV)治療歴のない成人におけるHIV-1感染症の治療、又はウイルス学的に抑制された(HIV-1 RNA<50copies/mL)成人におけるHIV-1感染症の切り替え治療を適応として承認されています。
ドウベイトは、米国、欧州、日本、オーストラリアなど世界各国で承認されています。
詳細の情報は、ドウベイト配合錠の電子添文をご参照ください。
Apretude (PrEP用のカボテグラビル持効性注射剤)について
Apretudeは、HIV感染リスクが高い体重35kg以上の成人および青年を対象に、HIV曝露前予防投与(PrEP)を目的として使用される薬剤です。使用者は、 Apretude (カボテグラビル錠による経口導入の有無にかかわらず) を開始する前に、HIV-1 検査で陰性を確認する必要があります。またコンドームの使用など、より安全な性行為と組み合わせて使用する必要があります。
Apretudeはカボテグラビル製剤であり、本邦未承認です。
商標はヴィーブヘルスケアのグループ会社が所有またはライセンス供与しています。
ヴィーブヘルスケアについて
ヴィーブヘルスケアは、GSK (LSE: GSK)およびファイザー (NYSE: PFE)によって2009年11月に設立された、抗HIV薬に特化したグローバル・スペシャリストカンパニーです。2012年10月に塩野義製薬株式会社が10%の持ち分を取得しました。ヴィーブヘルスケアは、どの会社よりも、HIV/AIDSについてより深い、幅広い関心を持つことで、新たなアプローチで効果的な新規のHIV治療薬を提供し、HIVの影響を受けているコミュニティを支援することを目指しています。詳細は、https://viivhealthcare.com/ja-jp/をご覧ください
会社、マネジメント、ポートフォリオ、パイプライン、コミットメントに関する更なる情報は、www.viivhealthcare.com をご覧ください。
GSKについて
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするグローバルなバイオ医薬品企業です。詳細情報はhttps://jp.gsk.com をご参照ください。
参照
- F. Felizarta, et al. The power of choice: strong preference for CAB+RPV LA following rapid suppression with DTG/3TC in ART-Naïve people living with HIV. Presented at the International AIDS Society Conference (IAS 2025), 13-17 July, Kigali, RW.
- F. Felizarta, et al. Perspectives of people living with HIV (PWH) 24 months following a switch to cabotegravir and rilpivirine long-acting (CAB+RPV LA) in an observational real-world US study (BEYOND). Presented at the International AIDS Society Conference (IAS 2025), 13-17 July, Kigali, RW.
- G. Blick, et al. Clinical outcomes at month 24 after initiation of cabotegravir and rilpivirine long acting (CAB+RPV LA) in an observational real-world study (BEYOND). Presented at the International AIDS Society Conference (IAS 2025), 13-17 July, Kigali, RW.
- C. Wyen, et al. 24-month outcomes of cabotegravir+rilpivirine long-acting every 2 months in a real‑world setting: effectiveness, adherence to injections, and participant-reported outcomes from people with HIV-1 in the German CARLOS cohort. Presented at the International AIDS Society Conference (IAS 2025), 13-17 July, Kigali, RW.
- A. Pozniak, et al. High virologic suppression and few virologic failures with Long-Acting Cabotegravir + Rilpivirine in Treatment Experienced Virologically Suppressed Individuals from COMBINE-2 cohort in Europe. Presented at the International AIDS Society Conference (IAS 2025), 13-17 July, Kigali, RW.
- R. Hsu, et al. Real-world effectiveness of CAB+RPV LA in individuals with HIV viremia at therapy initiation. Presented at the International AIDS Society Conference (IAS 2025), 13-17 July, Kigali, RW.
- J. Altamirano, et al. Clinical outcomes among women in the OPERA cohort initiating CAB+RPV LA with viral loads ≥ 50 copies/mL. Presented at the International AIDS Society Conference (IAS 2025), 13-17 July, Kigali, RW.
- D. Dandachi, et al. One-year implementation outcomes of cabotegravir long-acting injectable PrEP in men who have sex with men (MSM) & transgender men (TGM): findings from the PILLAR study. Presented at the International AIDS Society Conference (IAS 2025), 13-17 July, Kigali, RW.
- Z. Tims-Cook, et al. Health care provider experiences after 12 months of implementing cabotegravir long-acting injectable PrEP (CAB LA) for Black women: EBONI study results. Presented at the International AIDS Society Conference (IAS 2025), 13-17 July, Kigali, RW.
- ボカブリア水懸筋注400mg/600mg、ボカブリア錠30㎎ 各添付文書 第4版
- ドウベイト配合錠 添付文書第8版