ヴィーブヘルスケア、持効性注射剤CABENUVA(カボテグラビル+リルピビリン)が、服薬アドヒアランスに課題を抱えるHIV陽性者において、毎日の経口療法と比較し優越性を示した中間データをCROIで発表
2024年3月6日 英国ロンドン – GSK、ファイザー、塩野義製薬が資本参加するグローバルなHIV領域のスペシャリスト・カンパニーであるヴィーブヘルスケアは、HIV-1感染症に対する持効性注射剤であるCabenuva(カボテグラビル+リルピビリン)が、アドヒアランスに課題を抱えるHIV陽性者において、毎日の経口療法と比較して、ウイルス抑制維持において優越性を示したLATITUDE第Ⅲ相臨床試験の中間解析結果を発表しました。
このデータは、米国コロラド州デンバーで開催されたレトロウイルスおよび日和見感染症に関する会議(CROI 2024)で、HIVおよびその他の感染症に焦点を当てた世界的な臨床試験ネットワークであるAdvancing Clinical Therapeutics Globally for HIV/AIDS and Other Infections(ACTG)によって発表されました。
ヴィーブヘルスケアの研究開発責任者であるキンバリー・スミス医学博士(MPH)は次のように述べています;
「米国でHIV陽性者の3分の1がウイルス抑制維持に苦労していると推定されています。LATITUDE試験の結果は、このグループの一部の人々にとって、持効性注射剤カボテグラビル+リルピビリンがウイルスを抑制するための選択肢として提供されることが重要であることを示しています。さらに、ウイルスが検出されない人は性的パートナーに感染しないことがわかっているため、このことはHIVの流行を終わらせるために重要な貢献をする可能性があります。」
LATITUDE試験は、第Ⅲ相無作為化非盲検試験です。参加者は、ウイルス抑制を達成するために、ドルテグラビルおよびbictegravirベースのレジメンを含む治療ガイドラインの推奨する3剤併用の経口療法を服用しながら、包括的で報酬のあるアドヒアランスサポートを受けました。ウイルス抑制を達成した患者は、経口標準治療(SOC)を継続する群と、持効性注射剤であるカボテグラビル+リルピビリン(LA-ART)を1ヶ月に1回投与する群に無作為化されました。(※本邦における用法及び用量と一部異なります。後述の効能又は効果、用法及び用量を参照1)
無作為化の段階では、146例が1ヶ月に1回のLA-ART群、148例がSOC継続群に割り付けられました。主要評価項目は、ウイルス学的失敗と投与中止の組み合わせで定義される、レジメン失敗の群間比較でした。レジメン失敗を経験した割合はLA-ART群で24.1%、SOC群で38.5%でした{差: -14.4 (98.75% CI: -29.8%、0.8%)}。
主要評価項目は事前に定義された中間解析の厳密な中止基準を満たしていませんでしたが、主要な副次評価項目である、ウイルス学的失敗(LA-ART=7.2% vs SOC=25.4%{差-18.2%(98.75%CI: -31.1%、-5.4%})および治療関連失敗(LA-ART: 9.6% vs SOC: 26.2% {差-16.6%(98.75%CI: -29.9%、-3.3%)}の結果は、LA-ART群を支持するものでした。本試験のデータ安全性モニタリング委員会(DSMB)は、すべての試験エンドポイントを総合的に評価し、持効性注射剤が経口標準治療に対して有効性において優越性を示していると結論付けました。DSMBは、すべての適格な試験参加者に持効性注射剤であるカボテグラビル+リルピビリンへの切り替えを推奨しました。
有害事象発生率は両群で同程度でした。LA-ART群の3例で重篤な注射部位反応(ISR)が確認され、1例はISRにより投与を中止しました。各群でのウイルス学的失敗2例ずつにおいて新たな関連耐性変異(RAMs)が確認され、 LA-ART 群の2例においては少なくとも 新たに2つのインテグラーゼ阻害剤RAMsを含んでいました。
LATITUDE (Long-Acting Therapy to Improve Treatment Success in Daily Life) 試験は、プエルトリコを含む米国31の医療施設で進行中であり、ACTGを通じて実施されています。研究参加者の年齢中央値は40歳でした。参加者の40%が男性、64%が黒人/アフリカ系アメリカ人、17%がヒスパニック系、5%がトランスジェンダー、14%が現在または以前に静注ドラッグの使用経験がありました。 この研究は、米国国立衛生研究所(NIH)傘下の米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)が後援・資金提供し、国立精神衛生研究所、国立薬物乱用研究所、ヴィーブヘルスケア、Janssen Pharmaceutical Companies of Johnson & Johnson社からの追加支援を受けて、ACTGが実施しています。
Cabenuva (カボテグラビル+リルピビリン) について
Cabenuvaは、治療失敗の既往がなく、安定した抗HIV治療によりウイルス学的抑制(HIV-1 RNA量<50 c/mL)を得られ、カボテグラビルまたはリルピビリンのいずれかに対する既知または疑われる薬剤耐性関連変異のない患者を対象とした成人HIV-1感染症の治療として適応を取得している持効性注射レジメンです。
この持効性注射剤は、ヴィーブヘルスケアが開発したインテグラーゼ阻害剤(INSTI)カボテグラビルと、Janssen Sciences Ireland UCが開発した非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)であるリルピビリンを組み合わせたものです。リルピビリンは米国において1日1回投与の25㎎の錠剤として、他の抗HIV薬と併用し、抗HIV治療歴のない12歳以上で、HIV-1 RNA量100,000c/mL以下の体重35kg以上のHIV-1感染症患者を対象に承認されています。
カボテグラビルを含むINSTIは、ウイルスDNAがヒト免疫細胞(T細胞)のDNAへの組み込みを阻害することによりHIVの複製を阻害します。この過程はHIVの複製に不可欠で、慢性感染の成立に関与します。リルピビリンはNNRTIであり、逆転写酵素と呼ばれる酵素を阻害することにより、ウイルスの複製を阻害します。
商標はヴィーブヘルスケアのグループ会社が所有またはライセンス供与しています。
本邦におけるカボテグラビルおよびリルピビリンの持効性注射剤の概要は以下の通りです。
カボテグラビルとリルピビリンの効能・効果、用法・用量について1
カボテグラビル注射剤とリルピビリン注射剤の併用は、ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前の6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制が得られており、カボテグラビル及びリルピビリンに対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される既治療のHIV-1感染患者を対象とし、1ヶ月または2ヶ月に1回投与する持効性治療レジメンです。1回の診療時に医療従事者が2種類の注射剤を臀部にそれぞれ筋肉内注射します。注射治療を開始する前に、カボテグラビルとリルピビリンの錠剤を約1ヶ月間(少なくとも28日間)を目安に経口投与し、薬剤に対する忍容性を評価します。
詳細は最新の添付文書を参照ください。
ACTGについて
ACTGは、HIVやその他の感染症とそれらとともに生きる人々に焦点を当てた、世界最大かつ最も長く続いている臨床試験ネットワークです。これは、NIAIDと協力するNIH研究所によって資金提供されています。1987年に設立されたACTGは、HIVとその併存疾患の管理を改善するための研究を行っています。HIV感染症、結核、B型肝炎、新興感染症の治療法の画期的な研究を行っています。何千人もの献身的な研究者、スタッフ、コミュニティメンバーで構成されており、4大陸の何百もの場所で感染症の新しい治療法や治癒の研究を追求しており、私たちがサービスを提供する人々の生活に有意義な影響を与える科学を進歩させることを究極の目標としています。
ヴィーブヘルスケアについて
ヴィーブヘルスケアは、GSK (LSE: GSK)およびファイザー (NYSE: PFE)によって2009年11月に設立された、抗HIV薬に特化したグローバル・スペシャリストカンパニーです。2012年10月に塩野義製薬株式会社が10%の持ち分を取得しました。ヴィーブヘルスケアは、どの会社よりも、HIV/AIDSについてより深い、幅広い関心を持つことで、新たなアプローチで効果的な新規のHIV治療薬を提供し、HIVの影響を受けているコミュニティを支援することを目指しています。詳細は、https://viivhealthcare.com/ja-jp/をご覧ください
会社、マネジメント、ポートフォリオ、パイプライン、コミットメントに関する更なる情報は、www.viivhealthcare.com をご覧ください。
GSKについて
GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com をご参照ください。