ヴィーブヘルスケア、投与間隔が4カ月以上のカボテグラビル超長時間作用型製剤の第I相臨床試験結果を発表

2024年3月4日 英国ロンドン – GSK、ファイザー、塩野義製薬が資本参加するグローバルなHIV領域のスペシャリスト・カンパニーであるヴィーブヘルスケアは、カボテグラビルの現在よりも長時間作用するUltra Long Acting製剤(CAB-ULA)が4カ月以上に1回の投与が可能であることが示唆される第I相臨床試験の肯定的な結果を発表しました。これは、Ultra Long Actingの注射製剤によるHIV治療と予防の提供に向けた第一歩であり、HIV陽性者が医療機関を受診する間隔を4カ月間以上に延長できる可能性があります。

CAB-ULA筋肉内投与データから、より長い投与間隔を可能にする安全性および薬物動態(PK)プロファイルが示されました。1これらの知見は、3月4日、コロラド州デンバーで開催されたレトロウイルスおよび日和見感染症に関する会議(CROI 2024)で発表されました。

ヴィーブヘルスケアは、成人のHIV感染予防におけるCAB-ULAを更に評価するため、2024年にCAB-ULAの登録研究を開始しています。さらに今後の研究分野には、他の治療薬と組み合わせたUltra Long ActingのHIV治療レジメンとして完結し使用する可能性が含まれます。

ヴィーブヘルスケアの研究開発責任者であるキンバリー・スミス医学博士は次のように述べています;

「HIVコミュニティは、日々の治療の負担を軽減するのに役立つ、より長時間作用する医薬品を望んでいます。ヴィーブヘルスケアは、長時間作用するHIV治療薬の開発におけるパイオニアかつリーダーであり、すでに注射剤による治療を通じてHIVコミュニティに革新をもたらしています。高濃度で半減期が2倍以上の新しいカボテグラビル製剤(CAB-ULA)により、HIV治療と予防における投与を4カ月ごとに実施する道筋が開けるでしょう」
(※本邦では予防投与は未承認、治療においては最新の添付文書を確認のこと2)

健康成人70人を対象とした進行中の非盲検、単回投与、用量漸増第I相試験では、カボテグラビルの2つの異なる製剤の安全性とPK、および低投与頻度の可能性を評価しました。これらのレジメンの長時間作用の可能性を評価するために、そのPKプロファイルをカボテグラビル筋肉内投与製剤200 mg/mL (CAB200) と比較しました。CAB200は現在、単剤でHIV予防、またはHIV治療(リルピビリンと併用)として承認されています。
(※本邦では予防投与は未承認、治療においては最新の添付文書を確認のこと2)

試験の第1パートでは、800 mg、1200 mg、および1600 mgの用量で、16人の被験者に皮下投与(SC)または32人の被験者に筋肉内投与(IM)し、CAB-ULAの単回投与を評価しました。投与経路に関係なく、CAB-ULAの最大血中濃度は、同じ用量レベルでCAB200 IMよりも低く、CAB-ULAの吸収が遅いことが示されました。CAB-ULA(SC)とCAB-ULA(IM)の予測半減期(薬物が体内にとどまる時間の尺度)は、CAB200 IMの半減期よりもそれぞれ6倍と2倍の長さを示しました。 PKシミュレーションにより研究者らは、4カ月ごとに投与する1600 mg/3mL IMのCAB-ULAが、承認されている2カ月に1回投与のCAB200(600 mg/3mL IM)と比較し、同程度の曝露量となる可能性があると予測しました。

CAB-ULAは忍容性が確認され、投与中止に至る有害事象(AE)は認められませんでした。CAB-ULA SCの全被験者が注射部位反応(ISR)を報告し、CAB-ULA IMの被験者32人中22人がISRを報告しました。CAB-ULA IMによるISRの大部分は、7日未満の軽度の痛み(グレード1)でした。この試験の投与量は、現在承認されているCAB200 IMよりも高かったにもかかわらず、CAB-ULA IMのISRプロファイルは、確立されたCAB200 IMのISRプロファイルと同様でした。

GSK主任研究者であるKelong Han博士は次のように述べています;

「これらの知見は、CAB-ULAが4カ月以上に1回の投与が可能なPKプロファイルを持っていることを示唆しています。これは、現在承認されているカボテグラビルのHIV曝露前予防投与よりも長いものです。この有望な製剤のさらなる臨床開発に期待しています。将来に目を向けると、長時間作用型製剤のさらなる進歩は、HIV感染症の治療と予防の方法に革命を起こす可能性を秘めています」
(※本邦では予防投与は未承認、治療においては最新の添付文書を確認のこと2)

試験の第2パートでは、22人の被験者を対象に、種々の用量のCAB200 SCと多量の皮下注射液量を迅速に輸送することを可能にする酵素である、組換えヒトヒアルロニダーゼPH20(rHuPH20)との組み合わせの皮下投与を評価しました。このパートでは、rHuPH20(10,000単位)が最初に投与され、次にCAB200が800 mg、1600 mg、および3200 mgの用量で投与されました。

CAB200+rHuPH20の同時投与後に観察されたCAB血漿中濃度は、用量に比例して増加し、観察されたCABの最大血中濃度は、同じ用量レベルでCAB200 IM単独投与よりも高く、薬剤の初期吸収率の増加を示しました。CAB200+rHuPH20の3つの異なる用量における平均半減期は、CAB200 IM単独投与の場合と同様であり、より低い頻度で投与できる可能性が低いことを示しています。

ISRはすべての被験者で発生し、用量に関連してISRのグレードが上昇する傾向がありました。最高用量のCAB200(3200mg)SC+rHuPH20を投与された被験者の1人で、薬物関連の重篤なAEとして壊死を伴う注射部位紅斑が報告されました。 これらの知見を総合した結果、ヴィーブヘルスケアは、超長時間作用型投与のためのCAB 200 SC+rHuPH20の研究を中止しました。

ヴィーブヘルスケアについて

ヴィーブヘルスケアは、GSK (LSE: GSK)およびファイザー (NYSE: PFE)によって2009年11月に設立された、抗HIV薬に特化したグローバル・スペシャリストカンパニーです。2012年10月に塩野義製薬株式会社が10%の持ち分を取得しました。ヴィーブヘルスケアは、どの会社よりも、HIV/AIDSについてより深い、幅広い関心を持つことで、新たなアプローチで効果的な新規のHIV治療薬を提供し、HIVの影響を受けているコミュニティを支援することを目指しています。詳細は、https://viivhealthcare.com/ja-jp/をご覧ください

会社、マネジメント、ポートフォリオ、パイプライン、コミットメントに関する更なる情報は、www.viivhealthcare.com をご覧ください。

GSKについて

GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com をご参照ください。

参考

  1. K. Han, et al. Phase I Study of Cabotegravir Long-Acting Injectable Formulations Supports ≥4-Monthly Dose Interval. Presented at Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections (CROI). March 2024.
  2. ボカブリア水懸筋注400mg/600mg 各添付文書 第4版