ヴィーブヘルスケア、成人HIV-1感染症患者を対象とした持効性注射剤CABENUVA(カボテグラビルおよびリルピビリン[CAB+RPV LA])の毎日経口投与のビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド[BIC/FTC/TAF]に対する非劣性を示す肯定的なデータを発表

  • SOLAR試験の12ヵ月の結果から、2ヵ月に1回投与のCAB+RPV LAの効果は、毎日経口投与のBIC/FTC/TAFとの比較において非劣性を示した

2023年2月23日 英国ロンドン – GSK、ファイザー、シオノギ製薬が資本参加するグローバルなHIV領域のスペシャリスト・カンパニーであるヴィーブヘルスケアは、SOLAR試験の12ヵ月の結果を発表しました。SOLAR試験は、持効性注射剤Cabenuva(カボテグラビル, リルピビリン[CAB+RPV LA])の毎日経口投与ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビルアラフェナミド [BIC/FTC/TAF]と直接比較した、初めての第IIIb相試験です。

この試験の主要エンドポイントである12か月目におけるウイルス学的効果を比較した結果、2ヵ月に1回投与のCAB+RPV LAの、毎日経口投与のBIC/FTC/TAFに対する非劣性が示されました。さらに、BIC/FTC/TAFからCAB+RPV LAに切り替え、サーベイを完了した参加者(n=425)の90%は、持効性レジメンを好んだことが示されました。SOLAR試験中におけるBIC/FTC/TAFからCAB+RPV LAへの切り替えの有効性、忍容性は概ね良好であり、調整済みのHIV治療満足度質問票 (HIVTSQs)に基づいたベースラインからの治療満足度スコアの上昇において、有意差が認められました。これらのデータは、ワシントン州シアトルで開催された第30回レトロウイルスと日和見感染症学会(CROI)で発表されました。

ヴィーブヘルスケアのChief Medical OfficerであるHarmony P. Garges医師(MPH)は次のように述べています。

「患者さんの好みに関する多くのエビデンスから、HIVとともに生きる人々の中には、毎日のHIV感染症の経口治療への課題を経験していることが示唆されており、 HIVとともに生きる人々の治療ニーズは変化しつつあります。私たちは、HIVとともに生きる人々はこれらの負担を軽減するための治療選択肢を持つことが必要であり、持効性注射レジメンが今日のこれらの課題のいくつかに対処するのに役立つと考えています。カボテグラビルは、その良好でかつ持続的な有効性、忍容性、およびサーベイを完了した本試験の参加者の90%が、毎日経口投与レジメンから切り替え後の持効性注射レジメンを好んだという結果から支持されるように、持効性注射レジメンの一つとして、 HIV診療における持効性治療の礎となると確信しています」

SOLAR試験では、BIC/FTC/TAF服用によりウイルス学的に抑制された HIV感染患者670例を、CAB+RPV LAを2ヵ月に1回投与する群(n=447)または毎日経口投与のBIC/FTC/TAFを継続する群(n=223) に2:1に無作為に割り付けました。有効性の主要評価項目である12か月目のHIV-1 RNA量50 コピー/mL(c/mL)以上であった参加者の割合を FDAスナップショットアルゴリズムにより解析した結果、CAB+RPV LAの毎日経口投与のBIC/FTC/TAFに対する非劣性が検証されました (非劣性マージン4% 、mITT-E; CAB+RPV LA: 5/447[1%] 、BIC/FTC/TAF: 1/223[<1%] 、調整差:0.7%、95% CI [-0.7, 2.0]) 。また、ウイルス学的抑制(HIV-1 RNA量50 c/mL未満)された参加者の割合は、治療群間で同程度でした(CAB+RPV LA: 403/447[90%]、BIC/FTC/TAF: 207/223[93%] 、調整差: -2.7%、95% CI [-7.0, 1.7]) 。ITT-EおよびPer Protocol (PP)解析のいずれにおいても、ウイルス学的アウトカムが非劣性であることが示されました。

本試験開始時には、参加者の47%が「自分のHIVステータスが意図せず発覚するのではないかという心配」 「HIV治療薬の服用を忘れてしまうのではないかという心配」 「HIV治療薬を服用することで自分のHIVの状態を不快に思い起こさせると感じる」など、毎日の治療における課題について、常にまたはしばしば1つ以上経験していることが報告されました。ベースラインにおける平均治療満足度スコア (HIVTSQs) (CAB+RPV LA: 57.88、BIC/FTC/TAF: 58.38)の、試験12か月目における平均スコアの上昇はCAB+RPV LAで+3.36、BIC/FTC/TAFで-1.59 と、有意差が認められました(p<0.001, Mixed Model Repeated Measures model) 。CAB+RPV LAに切り替え、サーベイを完了した参加者の90% (n=382/425)が、毎日経口投与の治療薬と比較して持効性注射レジメンを好みました。持効性治療を好む理由の上位5つは以下の通りでした:

  • HIV治療薬を毎日忘れず服用することについて心配する必要がないこと
  • 2ヵ月に1回注射治療を受ける方が利便性が良いこと
  • HIV治療薬を携帯しておく必要がないこと
  • 毎日自分のHIVの状況について考える必要がないこと
  • 他人に自分のHIV薬を見られたり、見つけられたりすることを気にする必要がないこと

ウイルス学的失敗(CVF)は、CAB+RPV LA治療を受けたmITT-E集団の参加者2例(0.4%)およびITT-E集団の参加者1例でCVFが認められ、その後、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)およびインテグラーゼ阻害剤(INSTI)に対する耐性関連変異(RAM)が同定されました。BIC/FTC/TAF群の参加者ではCVFは認められませんでした。

CAB+RPV LAおよびBIC/FTC/TAFによる治療の忍容性はいずれも概ね良好でした。注射部位反応(ISR)を除外した場合、有害事象(AE)および重篤な有害事象(SAE)は両群間で同程度でしたが、治験薬との関連性があるAEの発現は CAB+RPV LA群(切り替え)の方が高頻度でした(20% vs 1%未満) 。 CAB+RPV LA群において最も多く報告された治験薬と関連性があると考えられるAEは、発熱(3%)、頭痛(2%)、疲労(2%)および下痢(2%)でした。BIC/FTC/TAF群において報告された2件の治験薬と関連のある有害事象は、体重増加(1%未満)および肝機能異常(1%未満)でした。 CAB+RPV LA 群におけるほとんどのISRはグレード1または2(98%)で、持続期間は中央値3日であり、注射関連の理由により中止した参加者は2%でした。有害事象による中止例は CAB+RPV LA 群で多くみられました(6% vs 1%未満) 。

SOLARの治験責任者であり、フロリダ州フォートピアスのMidway Immunology and Research Centerの

Moti N. Ramgopal氏は次のように述べています。

「HIVとともに生きる人々の多くはウイルス抑制されていますが、自分の薬が他人に見つかることにより偶然HIVのステータスが開示されてしまうことへの恐れも含み、毎日経口投与の治療薬を服用することに困難を感じている人もいます。SOLARの結果は、2ヵ月毎に投与されるCAB+RPV LAはBIC/FTC/TAFとの有効性の比較において非劣性を示す一方で、毎日のHIV治療の服用に関連するいくつかの重要な課題にも対処可能なことを実証しています。これらの知見から、HIV治療薬を処方する医療従事者は、標準的な有効性と安全性のデータに加えて、治療を勧める際に患者の好みを特定し、取り入れるべきであり、それによってHIVとともに生きる人々がそのニーズに対して最善の治療選択肢を持つことを確実にすべきであるという重大な注意を喚起するものです」

ヴィーブヘルスケアのカボテグラビルと、Janssen Pharmaceutical Companies of Johnson & Johnson社のひとつであるJanssen Sciences Ireland UCのリルピビリンとの併用療法は、ヤンセン社との共同開発の一環として開発され、HIVコミュニティに革新的な医薬品を提供することを中心とした、ヴィーブヘルスケアの業界をリードするポートフォリオに基づいています。CAB+RPV LAの持効性注射レジメンは、カナダ、米国およびオーストラリアではCabenuva、ヨーロッパおよび日本ではボカブリア (カボテグラビル注射剤および錠剤) およびリカムビス® (リルピビリン注射剤)として認可されています。患者報告アウトカムに関する追加データを含め、SOLAR試験から得られたさらなる知見と解析結果は、今後の国際会議で発表される予定です。

SOLAR試験について

SOLAR (NCT04542070) は、ウイルス学的抑制が得られている成人HIV-1感染症患者において、CAB+RPV LA (経口導入療法[OLI] を併用する/併用しない)に切り替え2ヵ月ごとに投与する群と、BIC/FTC/TAFを継続投与する群とを比較した第IIIb相、無作為化(2:1) 、非盲検、多施設共同、非劣性(NI)試験です。主要解析は、事前に規定されたmodified Intent-to-Treat Exposed(mITT-E)集団に基づいています(11例が重大な治験実施計画書からの逸脱によりITT-Eから除外)。主要評価項目は、11ヵ月目(経口導入療法を併用しないLA群)および12ヵ月目(経口導入療法を併用するLA群およびBIC/FTC/TAF群)での血漿中HIV-1 RNA量≧50 c/mL (FDAスナップショット、非劣性マージン4%) の割合としました。その他の評価項目は、血漿中HIV-1 RNA量<50 c/mLの割合(FDAスナップショット、非劣性マージン-12%)、ウイルス学的失敗が確認された割合(CVF; 2回連続するHIV-1 RNA量≧200 c/mL) 、安全性、忍容性、治療満足度スコア(HIVTSQs) 、患者の好 みでした。

Cabenuva (カボテグラビル、リルピビリン) について

Cabenuvaは、治療失敗の既往がなく、安定した抗HIV薬によりウイルス学的抑制(HIV-1 RNA量<50 c/mL)を得られ、カボテグラビルまたはリルピビリンのいずれかに対する既知または疑わしい耐性変異のない患者を対象とした成人HIV-1感染症の治療として適応を取得している持効性注射レジメンです。

持効性注射レジメンは、ヴィーブヘルスケアが開発したインテグラーゼ阻害剤(INSTI)カボテグラビルと、Janssen Sciences Ireland UCが開発した非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)であるリルピビリンを組み合わせたものです。リルピビリンは米国において1日1回投与の25㎎の錠剤として、他の抗HIV薬と併用し、抗HIV治療歴のない12歳以上で、HIV-1 RNA量100,000c/mL以下の体重35kg以上のHIV-1感染症患者を対象に承認されています。

カボテグラビルを含むINSTIは、ウイルスDNAがヒト免疫細胞(T細胞)のDNAへの組み込みを阻害することによりHIVの複製を阻害します。この過程はHIVの複製に不可欠で、慢性感染の成立に関与します。リルピビリンはNNRTIであり、逆転写酵素と呼ばれる酵素を阻害することにより、ウイルスの複製を阻害します。

商標はヴィーブヘルスケアのグループ会社が所有またはライセンス供与しています。

本邦におけるカボテグラビルおよびリルピビリンの持効性注射レジメンの概要は以下の通りです。

カボテグラビルとリルピビリンの効能・効果、用法・用量について1

カボテグラビル注射剤とリルピビリン注射剤の併用は、ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前の6ヵ月間以上に

おいてウイルス学的抑制が得られており、カボテグラビル及びリルピビリンに対する耐性関連変異を持たず、本剤へ

の切り替えが適切であると判断される既治療のHIV-1感染患者を対象とし、1ヶ月または2ヶ月に1回投与する持効性治療レジメンです。1回の診療時に医療従事者が2種類の注射剤を臀部にそれぞれ筋肉内注射します。注射治療を開始する前に、カボテグラビルとリルピビリンの錠剤を約1ヶ月間(少なくとも28日間)を目安に経口投与し、薬剤に対する忍容性を評価します。

詳細は最新の添付文書を参照ください。

ヴィーブヘルスケアについて

ヴィーブヘルスケアは、GSK (LSE: GSK)およびファイザー (NYSE: PFE)によって2009年11月に設立された、抗HIV薬に特化したグローバル・スペシャリストカンパニーです。2012年10月に塩野義製薬株式会社が10%の持ち分を取得しました。ヴィーブヘルスケアは、どの会社よりも、HIV/AIDSについてより深い、幅広い関心を持つことで、新たなアプローチで効果的な新規のHIV治療薬を提供し、HIVの影響を受けているコミュニティを支援することを目指しています。詳細は、https://viivhealthcare.com/ja-jp/about-viiv/ をご覧ください

会社、マネジメント、ポートフォリオ、パイプライン、コミットメントに関する更なる情報は、www.viivhealthcare.com をご覧ください。

GSKについて

GSKは、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品のグローバルリーダーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com をご参照ください。

参考

  1. ボカブリア水懸筋注400mg/600mg、ボガブリア錠30㎎ 各添付文書 第1

NP-JP-NA-PRSR-230006