MEDICINE PATENT POOL、ヴィーブヘルスケアのHIV曝露前予防としての カボテグラビル持効性注射剤のジェネリックを製造するための自主ライセンス契約をAUROBINDO、CIPLA、VIATRISと締結

  • このライセンスにより、HIVの影響を最も受けている地域に住む何百万人もの人々が、ジェネリックメーカーを通じて低コストでこの革新的なHIV曝露前予防の選択肢へのアクセスが可能に
  • 発表にはアフリカ大陸での大規模生産の可能性を含む

2023年3月30日 英国ロンドン: GSK、ファイザー、塩野義製薬が資本参加するグローバルなHIV 領域のスペシャリスト・カンパニーであるヴィーブヘルスケアとMedicines Patent Pool (MPP)は、MPPがHIV曝露前予防 (PrEP)としてのカボテグラビル持効性注射剤(LA)のジェネリックを製造するためのサブライセンス契約をAurobindo、Ciplaおよび子会社であるMylanを通じてViatrisと締結したことを発表しました。これは、2022年7月にMPPとPrEPとしてのカボテグラビル LAに関連する特許の自主ライセンス契約を締結したことによって可能になったものです。

国際エイズ合同計画(UNAIDS)の最新の推計によると、2021年には世界で約150万人が新たにHIVに感染し、そのうち860,000人がサハラ以南のアフリカに住んでおり、女性と思春期の少女が特に大きな影響を受けています。1,2 現在、多くの国で経口薬によるPrEPの選択肢が入手可能ですが、PrEPとしてのカボテグラビルLAへのアクセスがHIV予防方法の一つとして選択肢を人々に提供されることにより、HIV伝播の減少に大きく貢献する可能性があります。

世界初のPrEPとしてのカボテグラビルLAの米国食品医薬品局(FDA)3 による承認からわずか7ヵ月後の2022年7月、ヴィーブヘルスケアとMPPは、PrEPとしてのカボテグラビルLAに関連する特許の自主ライセンス契約を締結し、全ての後発開発途上国、低所得国、低中所得国、サハラ以南のアフリカ諸国におけるアクセスを可能としました。4,5 このライセンスは、ヴィーブヘルスケアとMPPとの間の長年にわたるパートナーシップを基礎としており、HIVに最も影響を受け、治療とケアのための費用を負担することが困難な国において、ヴィーブヘルスケアの経口治療薬のジェネリックの製造・販売を促進する上で非常に成功しています。

ヴィーブヘルスケアのCEOであるDeborah Waterhouseは次のように述べています。

「PrEPとしてのカボテグラビル LAはHIVのたどる道を変える可能性があります。3つのジェネリック医薬品パートナーとのサブライセンス契約への署名は、新規HIV感染数の負担が非常に高い国々において、この薬への幅広いアクセスを可能にするための非常に重要なマイルストーンです。私たちは、開発、製造、供給を可能にするために、MPPとこれらのジェネリックメーカーと共に歩調を合わせて取り組むことを約束します。」

MPPとヴィーブヘルスケアとの契約により、選ばれたジェネリックメーカーは、90カ国において、PrEPとしてのカボテグラビルLAのジェネリックを開発、製造、供給することが可能となり、必要な規制上の承認を得られることになります。AurobindoとViatrisはインドで製造する予定、Ciplaはインドおよび南アフリカで製造する予定です。これらの3社のジェネリックメーカーは、申請社の盲検評価と、最終選考に残った申請社の現場での技術的評価を含む「エクスプレスション・オブ・インタレスト」の公募を通じて選定され、長時間作用するナノ粒子懸濁液をベースとする注射用製剤を開発するための技術的な専門知識、能力、準備(専門家の製造設備の観点から)が整っているとして選択されました。

経口薬によるPrEPのオプションと比較して、PrEPとしてのカボテグラビルLAは製造がより複雑であり、ヴィーブヘルスケアは、できるだけ早い開発とアクセスを可能にする技術的ノウハウを持ってAurobindo、CiplaおよびViatrisを支援することを約束します。

MPP理事長のCharles Gore氏は次のように述べています。

「これら3社とのサブライセンス契約は、MPPが長時間作用する抗HIV薬について締結した最初のものであり、PrEPとしてのカボテグラビルLAのジェネリックが、低・中所得国における新たな持効性のHIV曝露前予防へのアクセスの拡大に貢献することになるため、この分野に具体的に参入できることに興奮しています。MPPは、選ばれたジェネリックメーカーを支援する準備が整っており、長年のパートナーであるヴィーブヘルスケアも開発プロセスをサポートすることが可能です」

MPP、選ばれたジェネリックメーカーおよびヴィーブヘルスケアは、AVACを事務局とするGlobal Fund、PEPFAR、UNAIDS、Unitaid、および世界保健機関(WHO)から招集された「Coalition to Accelerate Access to Long-Acting PrEP」 と引き続き協力し、低・中所得国におけるPrEPとしてのカボテグラビルLAへの迅速かつ持続可能なアクセスを促進するための具体的で実用的な解決策を見出します。ヴィーブヘルスケアは、ジェネリックが入手可能になるまで、低所得国、後発開発途上国および全てのサハラ以南のアフリカ諸国において、PrEPとしてのカボテグラビルLAのアクセスと供給を広げるために、パートナーと協力し続けることを約束しています。

AVAC理事長のMitchell Warren氏は次のように述べています。

「PrEPとしてのカボテグラビルLAは承認されたHIV予防法であり、それを必要とし、使用したいという人々に広くアクセス可能でなければなりません。これらのサブライセンス契約の締結は、アクセスを加速させるプロセスの重要なステップです。Aurobindo、Cipla、ViatrisはMPPとのそれぞれのサブライセンス契約を通じて、今後数年間でこの長時間作用するPrEPへのアクセスを支援するために連合と密接に協力し、将来の長時間作用する医薬品の選択肢についてもプラットフォームを構築する必要があります。」

UnitaidのExecutive DirectorであるPhilippe Duneton博士は次のように述べています。

「これらの選ばれたジェネリックメーカーは、MPPが行った選定プロセスを通じて、PrEPとしてのカボテグラビルLAのジェネリックを製造する能力を示すことができ、長時間作用するPrEPに関する最初のMPP契約を締結することができたことを喜んでいます。Unitaidは、実装パートナーと共に、PrEPの選択肢パッケージの一部として可能にするため、最適な使用を確実にするために、また、連合や他の国際的パートナーと共に、長時間作用するPrEPオプションにできるだけ迅速に公平にアクセスできるようにするために、協力しています。」

PrEPとしてのカボテグラビル LAは、ヴィーブヘルスケアが米国、オーストラリア、ジンバブエ、南アフリカおよびマラウイにおいて、性感染によるHIV-1感染のリスクを低下させるために、体重が35kg以上の成人および青少年のHIV曝露前予防に使用することを承認された、唯一の持効性注射剤の抗レトロウイルス薬(ARV)です。個人は、投薬する前にHIV-1検査において陰性でなければなりません。ヴィーブヘルスケアは、臨床試験が実施された大多数の国を含む多くの国において製造販売承認申請を提出しており、さらなる登録が計画されています。

サブライセンス契約を閲覧する

PrEPとしてのカボテグラビル持効性注射剤について

本邦ではカボテグラビルにHIV曝露前予防(PrEP)の適応はありません。6

承認された地域におけるPrEPとしてのカボテグラビルLAは、HIV 曝露前予防として唯一の持効性注射剤です。HIV-1 検査陰性であり HIV 感染リスクの高い、体重 35kg 以上の成人及び青年を対象とした HIV 曝露前予防に適応されています。任意の経口剤による導入後、1 ヵ月間隔で 2 回注射し忍容性を評価後、2 ヵ月ごとに医療従事者が臀部にカボテグラビルとして600mg (3mL)を筋肉注射します。

カボテグラビルLAはインテグラーゼ阻害剤(INSTI)です。カボテグラビル持効性注射剤等の INSTI は、ウイルス DNA のヒト免疫細胞(T 細胞)の染色体への組み込みを阻害することにより、HIV の複製を阻害します。このステップは HIV 複製サイクルにおいて必須であり、慢性疾患の成立にも関与しています。

PrEPとしてのカボテグラビル LAは、注射剤として年6回投与され、初回は600mg (3ml)の単回注射で開始され、1ヵ月間隔で2ヵ月間連続投与されます。2回目の注射投与後、推奨される継続投与量は、2ヵ月毎に1回600mg (3ml)の注射です。経口投与のカボテグラビル錠剤は、本剤の忍容性を評価するため、1回目の注射を開始する前に、約1ヵ月間投与することが可能です。

詳細については米国処方情報をご覧ください。

商標はヴィーブヘルスケアのグループ会社が所有またはライセンス供与しています。

MPPについて

Medicines Patent Pool は、低所得国および中所得国のための救命医薬品へのアクセスを増やし、その開発を促進するために活動する、国連が支援する公衆衛生機関です。MPP は、その革新的なビジネスモデルを通じて、市民社会、政府、国際機関、産業界、患者グループ、および他の利害関係者と提携し、必要な医薬品を優先順位付け、ライセンス供与し、ジェネリック医薬品の製造や新製剤の開発を促進するために知的財産を保持します。今日まで、MPP は、13 の HIV 抗レトロウイルス薬、1 つの HIV 技術プラットフォーム、3 つの C 型肝炎の直接作用型抗ウイルス薬、結核治療、がん治療、4つの長時間作用型技術、3つのCOVID-19に対する経口抗ウイルス治療および12のCOVID-19関連技術について、18の特許保有者と契約を締結しています。

MPPは、MPPの主な資金提供者であるUnitaidによって創設されました。MPPの必須医薬品へのアクセスに関する活動は、スイス開発協力機構(SDC)からも資金提供を受けています。COVID-19におけるMPPの活動は、日本政府、フランスの欧州外務省、ドイツの国際協力機関およびSDCの財政支援を受けて行われています。より詳細の情報についてはhttps://medicinespatentpool.orgおよびTwitter, LinkedInYouTubeをご覧ください。

ヴィーブヘルスケアについて

ヴィーブヘルスケアは、GSK (LSE: GSK)およびファイザー (NYSE: PFE)によって 2009 年 11 月に設立された、抗 HIV 薬に特化したグローバル・スペシャリストカンパニーです。2012 年 10 月に塩野義製薬株式会社が 10%の持ち分を取 得しました。ヴィーブヘルスケアは、どの会社よりも、HIV/AIDS についてより深い、幅広い関心を持つことで、新たなア プローチで効果的な新規の HIV 治療薬を提供し、HIV の影響を受けているコミュニティを支援することを目指していま す。詳細は、https://viivhealthcare.com/ja-jp/about-viiv/ をご覧ください

会社、マネジメント、ポートフォリオ、パイプライン、コミットメントに関する更なる情報は、www.viivhealthcare.com をご覧 ください。

GSK について

GSK は、サイエンス、テクノロジー、人財を結集し、力を合わせて病に先手を打つことを存在意義とするバイオ医薬品 のグローバルリーダーです。詳細情報は https://jp.gsk.com をご参照ください。

参考文献

  1. UNAIDS. Global HIV & AIDS statistics — Fact sheet. Available at: https://www.unaids.org/en/resources/fact-sheet Last accessed March 2023.
  2. UNAIDS. Fact sheet 2022. Available at: https://www.unaids.org/sites/default/files/media_asset/UNAIDS_FactSheet_en.pdf Last accessed March 2023.
  3. US Food & Drug Administration. FDA Approves First Injectable Treatment for HIV Pre-Exposure Prevention. Available at: https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-approves-first-injectable-treatment-hiv-pre-exposure-prevention Last accessed March 2023.
  4. The World Bank. Country classification. Available at: https://data.worldbank.org/country Last accessed March 2023.
  5. United Nations. LDCs at a Glance. Available at: https://www.un.org/development/desa/dpad/least-developed-country-category/ldcs-at-a-glance.html Last accessed March 2023.
  6. ボカブリア水懸筋注400mg/600mg、ボガブリア錠30㎎ 各添付文書 第1版

NP-JP-NA-PRSR-230006