ヴィーブヘルスケア株式会社、初めての持効性注射剤のHIV治療薬であるボカブリア(カボテグラビル)の国内での製造承認を、 リカムビス(リルピビリン)との併用にて取得
この新たな治療法により、HIVとともに生きる人々が治療を受ける回数を年間365日から12日もしくは6日に削減することが可能になります
2022年6月1日、ロンドン/東京-GSK、ファイザー、塩野義製薬が資本参加するグローバルなHIV領域のスペシャリスト・カンパニーであるヴィーブヘルスケアは2022年5月31日、厚生労働省から初めての持効性注射剤の抗HIV治療薬としてボカブリア水懸筋注及びボカブリア錠(カボテグラビル注射剤及び錠剤†)の製造販売承認を取得しました1。ボカブリアは、ヤンセンファーマのリカムビス水懸筋注(リルピビリン注射剤)及びエジュラント錠(リルピビリン錠剤†)と併用し、ウイルス学的抑制が得られており、カボテグラビルまたはリルピビリンに対する耐性関連変異がこれまで検出されていない、ウイルス学的失敗歴がない成人のヒト免疫不全ウイルス(HIV)-1感染症が適応となります。
抗HIV治療頻度の削減に対するニーズは、ヴィーブヘルスケアが実施した、これまでで最大のグローバルなHIV陽性者調査である、「Positive Perspectives Wave 2」において明らかになりました。調査参加者に新たな治療薬について希望や意見を調査した結果、55%(n=1306/2389)のHIV陽性者が、HIVウイルス量が抑制されている限り、毎日の服薬を必要としないことを希望しました2。さらに、58%(n=1394/2389) が、毎日の服薬により自分がHIV陽性であることを思い出すと回答し、38%(n=906/2389) が、毎日の服薬はHIV陽性であることを他人に知られてしまう恐れがあると回答しました3。
† カボテグラビル錠剤およびリルピビリン錠剤はカボテグラビル注射剤及びリルピビリン注射剤を開始する前に経口導入として使用する
日本にはHIVとともに生きる人々が約3万人おり、その数は今も増え続け、年間1,000人以上の人が新たにHIVに感染しています4。日本ではHIVのまん延防止は依然として取り組むべき問題です。治療の進歩により予後の状況は改善されてきましたが、長期間にわたり服薬しなければいけないことや高齢化が進んだことがHIVコミュニティにとって課題となっています。
ヴィーブヘルスケア株式会社の代表取締役社長のサイモン・リは以下のように述べています。
「HIVとともに生きる人々の中には毎日の服薬を続けるたびに不安を感じたり、HIV陽性であることを知られてしまうことを恐れたり、あるいはHIV陽性であることを思い起こしたりする方々がいます。今回、日本で初めて、HIVとともに生きる人々が経口薬と同じ有効性を維持しながら、毎日の服薬の代わりに長時間にわたり作用する治療薬を選択できるようになったことを嬉しく思います。また、カボテグラビルの臨床試験の参加者は、毎日の経口薬の服用よりも、長時間作用する治療薬に切り替えたことに満足していました。 私たちは、多様な治療選択肢を提供することで、HIVとともに生きる人々のニーズにさらに応えていくことができるのを誇りに思います」
当社のミッションは、HIVとともに生きる人々が誰ひとりとして取り残されないようにすることです。HIV/AIDSにのみ焦点を当てた唯一の製薬会社として、当社はHIVとともに生きる多様な人々のニーズを満たす幅広い治療法を提供することに取り組んでいます。当社のカボテグラビルとヤンセンファーマのリルピビリンによる併用療法は、HIVコミュニティの多様なニーズを満たす医薬品の提供を中心とする当社の業界最先端のポートフォリオのひとつとしてヤンセンファーマと共同開発されたものです。
「ボカブリア水懸筋注について」 ※詳細については添付文書をご確認ください
製品名 | 「ボカブリア水懸筋注400 mg/600 mg」 |
一般名 | カボテグラビル持効性懸濁注射液 |
承認取得日 | 2022年5月31日 |
効能・効果 | HIV-1感染症 |
用法・用量 | 〈1ヵ月間隔投与〉 リルピビリンとの併用において、通常、成人にはカボテグラビルとして600mgを臀部筋肉内に 投与する。以降は、400mgを1ヵ月に1回、臀部筋肉内に投与する。 〈2ヵ月間隔投与〉 リルピビリンとの併用において、通常、成人にはカボテグラビルとして600mgを臀部筋肉内に 投与する。本剤初回投与1ヵ月後に600mgを臀部筋肉内に投与し、以降は600mgを2ヵ月に1回、臀部筋肉内に投与する。 |
製造販売元 | ヴィーブヘルスケア株式会社 |
販売元 | グラクソ・スミスクライン株式会社 |
「ボカブリア錠について」 ※詳細については添付文書をご確認ください
製品名 | 「ボカブリア錠30 mg」 |
一般名 | カボテグラビルナトリウム錠 |
承認取得日 | 2022年5月31日 |
効能・効果 | HIV-1感染症 |
用法・用量 | リルピビリン塩酸塩との併用において、通常、成人には1回1錠(カボテグラビルとして30mg)を1日1回経口投与する。 |
製造販売元 | ヴィーブヘルスケア株式会社 |
販売元 | グラクソ・スミスクライン株式会社 |
カボテグラビルについて
カボテグラビルはヴィーブヘルスケアが開発した、ウイルス学的失敗の経験がない成人HIV-1感染症患者を対象としたインテグラーゼ阻害薬(INSTI)です。リルピビリン注射剤と併用する持効性注射剤として承認を受けました。
カボテグラビルが含まれるINSTIは、ウイルスDNAがヒト免疫細胞(T細胞)のDNAへの組み込みを阻害することによりHIVの複製を阻害します。この過程はHIVの複製に不可欠で、慢性感染の成立に寄与します。
商標はヴィーブヘルスケアのグループ会社が所有またはライセンス供与しています。
リルピビリン注射剤について
リルピビリン注射剤は、Janssen Sciences Ireland UCが開発した持効性懸濁注射液です。リルピビリンは、非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)で、逆転写酵素と呼ばれる酵素を阻害することにより、ウイルスの複製を阻害します。
カボテグラビルとリルピビリンの効能・効果、用法・用量について
カボテグラビル注射剤とリルピビリン注射剤の併用は、ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前の6ヵ月間以上においてウイルス学的抑制が得られており、カボテグラビル及びリルピビリンに対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される既治療のHIV-1感染患者を対象とし、1ヶ月または2ヶ月に1回投与する持効性治療レジメンです。1回の診療時に医療従事者が2種類の注射剤を臀部にそれぞれ筋肉内注射します。注射治療を開始する前に、カボテグラビルとリルピビリンの錠剤を約1ヶ月間(少なくとも28日間)を目安に経口投与し、薬剤に対する忍容性を評価します。
ヴィーブヘルスケアについて
ヴィーブヘルスケアは、英国GSKと米国ファイザーによって2009年に設立された、抗HIV薬に特化したスペシャリスト・カンパニーです。2012年10月に塩野義製薬株式会社が10%の持ち分を取得しました。ヴィーブヘルスケアは、どの会社よりも、HIV/AIDSについてより深い、幅広い関心を持つことで、新たなアプローチで効果的な新規のHIV治療薬を提供し、HIVの影響を受けているコミュニティを支援することを目指しています。詳細は、https://viivhealthcare.com/ja-jp/about-viiv/ をご覧ください。
GSKについて
GSKは、科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com/を参照ください。
- ボカブリア水懸筋注400mg/600mg、ボガブリア錠30㎎ 各添付文書 第1版
- de los Rios P, Okoli C, Castellanos C, et al. Treatment aspirations and attitudes towards innovative medications among people living with HIV in 25 countries. Population Medicine, 2020;2(July):23.
- de los Rios P, Okoli C, Castellanos E, et al. Physical, Emotional and Psychosocial Challenges Associated with Daily Dosing of HIV Medications and Their Impact on Indicators of Quality of Life: Findings from the Positive Perspectives Study. AIDS and Behavior 2020.
- UNAIDS Country Factsheets: Japan. Available at https://www.unaids.org/en/regionscountries/countries/japan Last accessed: May 2022.
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