ヴィーブヘルスケア、HIV感染予防における世界初の長時間作用型注射剤であるApretude(カボテグラビル注射剤)の米国における承認取得を発表

  •  Apretudeは年間に6回の投与により、既存の経口予防オプション(FTC/TDF tablets)と比べてより優れた予防効果を示す
  • Apretudeは男性と性交渉を行う男性 (MSM) のみならず、男性と性交渉を行う女性およびトランスジェンダー女性を含む性交渉によるHIV感染リスクの高い、体重35kg以上の成人および青年における使用について承認を取得

2021 年 12月 20 日英国ロンドン: GSK、ファイザー、塩野義製薬が資本参加するグローバルな HIV 領域のスペシャリスト・カンパニーであるヴィーブヘルスケアは、HIV-1感染リスクを低減させる曝露前予防内服 (PrEP)を対象とした 初めての長時間作用型注射剤であるApretudeを米国食品医薬品局(FDA)が承認したことを発表しました。

長時間作用型の注射剤は、性交渉により、HIV感染リスクがあり、かつHIV陰性の体重35kg以上の成人および青年での使用について承認を取得しました。本剤の研究対象は、MSMのみならず、男性と性交渉する女性およびトランスジェンダー女性などのHIV感染リスクの高い方々です。

PrEPとしての長時間作用型のカボテグラビルは、1年に6回の注射という少ない投与回数で、600mg (3mL)の単回注射を1カ月間隔で2カ月間連続投与して開始されます。2回目の開始注射後、推奨される持続注射用量は、2カ月ごとに600mg (3ml)を単回注射することです。なお、初回注射開始前の約1ヵ月間は、本剤の忍容性を評価するために、ボカブリア(カボテグラビル錠剤)を投与することがあります。

ヴィーブヘルスケアのCEOであるDeborah Waterhouseは、以下のように述べています。

「HIVの感染リスクが高い人々、特に米国の黒人やラテン系のコミュニティの人々は、毎日の経口薬以外の選択肢を希望するかもしれません。そのため、ヴィーブヘルスケアは、Apretudeが、これまで感染予防の試験に参加できなかった、大勢のトランスジェンダー女性や黒人男性も含む多様で包括的な試験を実施できたことを誇りに思っています。Apretudeにより年に6回の注射で感染リスクを低減することができます。今回の承認は、当社が長時間作用型の医薬品の開発を通して多様な選択肢を提供するという約束の一例です。」

米国FDAの承認は、多施設共同無作為化二重盲検の2つのIIb/III相国際臨床試験、HPTN 083およびHPTN 084の結果に基づいて行われました。この試験では、長時間作用型カボテグラビル注射剤のHIV感染予防に対する安全性、有効性を、HIV陰性のMSM、トランスジェンダー女性およびシスジェンダー女性等、性交渉によるHIV感染リスクの高い方を対象とし評価した試験です。13カ国、7700人以上の参加者を統合したこれらの試験では、両試験の盲検無作為化により、長時間作用型カボテグラビルのHIV感染防御作用がエムトリシタビン/テノホビルジソプロキシルフマル酸塩(TDF/FTC)錠の毎日の経口投与と比較して試験参加者のHIV感染予防作用と比較して優位性を示したため、独立データ安全性モニタリング委員会により早期に中止することを勧告されました。PrEPに長時間作用型カボテグラビルを投与した臨床試験参加者では、HPTN 083試験ではFTC/TDF錠と比較してHIVの感染率が69%低く、HPTN 084試験ではFTC/TDF錠と比較して90%低い結果でした。

PrEPとしての長時間作用型カボテグラビルを投与された臨床試験参加者の1%以上に認められた主な副作用(全グレード)は、注射部位反応、下痢、頭痛、発熱、疲労、睡眠障害、悪心、浮動性めまい、鼓腸、腹痛、嘔吐、筋肉痛、発疹、食欲減退、傾眠、背部痛、上気道感染でした。有害事象により、HPTN 083の参加者の6%、HPTN 084の参加者の1%で試験を中止しました。

HPTN 083の米国の参加者は、HIV感染流行の影響を受けており、新規にHIVと診断される割合が最も多い黒人/アフリカ系アメリカ人およびラテン系ラテン系アメリカ人のMSMと、トランスジェンダー女性のコミュニティを含んでいました。HPTN 084では、すべての参加者がサハラ以南のアフリカ人シスジェンダー女性でした。この地域の女性はHIV感染流行のため、HIVに感染する可能性は男性の2倍です。

Research at Washington Health InstituteのDirectorであるRichard Elion医学博士は、以下のように述べています。

「私たちは、効果的な抗レトロウイルス治療とHIV感染予防の実施というHIV流行を終結させるツールを持っています。PrEPはHIVに感染しないよう人々を守る上で極めて重要な役割を果たしてきました。HIV感染を予防するための2カ月ごとの注射薬として長時間作用型カボテグラビルがPrEPに利用できるようになったことで、人々は毎日の経口薬以外に新たな選択肢を持つことができます。この長時間作用型の投与はHIV予防のためのより多くの選択肢を提供し、現在では、医療従事者と患者は選択肢と個人に最適なアプローチを選択することができるようになりました。」

HIVは世界的に健康上のリスクであり続けており、世界中でHIVと共に生きる人々は推定3800万人、新規患者は毎年170万人と推定されています。PrEPは、HIV抗レトロウイルス治療の成功に加えて、HIVの新規感染減少の有効なツールであり、HIV流行終息の有効な一助となりえます。ただし、米国でPrEPの恩恵を受けている人は25%未満です。現在、毎日の経口薬によるPrEPが広く利用可能であるにもかかわらず、それは、一貫性のないアドヒアランス、あるいは集団での不十分な利用につながる構造的、文化的な障壁によって制限されてしまっている可能性があります。

TruEvolutionのMBAでExecutive Director and CEOであるGabriel Maldonado氏は、以下のように述べています。

「HIV感染の影響を受けやすい人々は、感染予防のために、毎日服薬することにコンプレックスをもっていることがあります。これには、HIVに対する偏見や毎日服薬していることが偶発的に知られてしまうこと、日常生活の一般的な合併症などが含まれます。これらの問題はPrEPの使用率の低さとHIV流行の拡大につながる可能性があります。われわれのコミュニティは、多様なHIV感染防止の選択肢が必要です。PrEPに使用できる長時間作用型カボテグラビルは、HIV感染リスク低減の新たな選択肢となっています。」

ヴィーブヘルスケアは2022年の早期にApretudeを米国内の卸売業者や代理店に出荷する予定です。また、ヴィーブヘルスケアは、他の規制当局への承認申請も開始しました。Apretudeは、HIV感染予防を適応としては、米国以外で承認/認可されていません。

Apretude (カボテグラビル注射剤)について

Apretudeは、HIV感染予防(PrEP)において初めての長時間作用型注射剤です。HIV-1検査陰性でHIV感染リスクの高い、体重35kg以上の成人及び青年を対象としたHIV感染予防の適応です。任意の口腔リードイン後、1ヵ月間隔で2回注射し忍容性を評価後、2ヵ月ごとに医療提供者が臀部にカボテグラビル600mg (3mL)を筋肉注射します。

Apretudeはインテグラーゼ阻害剤(INSTI)です。カボテグラビル徐放性注射剤等のINSTIは、ウイルスDNAがヒト免疫細胞(T細胞)の遺伝物質に組み込まれるのを阻害することにより、HIVの複製を阻害します。このステップはHIV複製サイクルにおいて必須であり、慢性疾患の成立にも関与しています。

HPTN 083 について(NCT02720094)

HPTN 083試験は、HIV感染予防において、FTC/TDF錠(200mg/300mg)の毎日経口投与と比較して、8週間ごとに投与する長期作用型注射用カボテグラビルの安全性と有効性を評価するためにデザインされた第IIb/III相二重盲検試験です。各参加者は、盲検化された治験薬を最大3年間投与することとされました。当該試験は2016年11月に登録開始されました。HPTN 083は、アルゼンチン、ブラジル、ペルー、米国、南アフリカ、タイ、ベトナムの施設で、男性と性行為を行う男性と、男性と性行為を行うトランスジェンダー女性、4,566人を対象に実施されました。本試験はアルゼンチン、ブラジル、ペルー、米国、南アフリカ、タイ、ベトナムの研究センターで実施されました.HPTN 083 の詳細については、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02720094 をご覧ください。

HPTN 084(NCT03164564)について

HPTN 084試験は、HIV感染リスクの高いシスジェンダー女性3224例を対象に、HIV予防のため、長時間作用型注射剤カボテグラビルを8週間ごとに投与した群をFTC/TDF錠(200mg/300mg)を毎日経口投与した群と比較して安全性および有効性を評価することを目的とした第IIb/III相二重盲検試験です。試験デザインには、カボテグラビルの筋肉注射前に忍容性を評価するための経口投与のリードインを行いました。HPTN 084は2017年11月に開始し、ボツワナ、ケニア、マラウイ、南アフリカ、エスワティニ、ウガンダ、ジンバブエの研究施設で実施されています。

長期作用型カボテグラビルは、毎日経口投与のFTC/TDFと比較して試験対象集団におけるHIV感染予防効果がより高い結果でした。長時間作用型カボテグラビルを投与された被験者の1%以上に認められた主な副作用(全グレード)は、注射部位反応、下痢、頭痛、疲労、睡眠障害、悪心、浮動性めまい、腹痛、嘔吐、筋肉痛及び発疹ででした。詳細については、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03164564を参照してください。

ヴィーブヘルスケアについて

ヴィーブヘルスケアは、英国グラクソ・スミスクラインと米国ファイザーによって2009年に設立された、抗HIV薬に特化したスペシャリスト・カンパニーです。 2012年10月に塩野義製薬株式会社が10%の持ち分を取得しました。ヴィーブヘルスケアは、どの会社よりも、HIV/AIDSについてより深い、幅広い関心を持つことで、新たなアプローチで効果的な新規のHIV治療薬を提供し、HIVの影響を受けているコミュニティを支援することを目指しています。詳細は、www.viivhealthcare.comをご覧ください。

GSKについて

GSKは、科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com/を参照ください。

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