ヴィーブヘルスケア、抗 HIV 治療において初めての長時間作用型注射剤レジメン Cabenuva(カボテグラビルおよびリルピビリン)の2ヵ月間隔投与の適応追加が FDA に承認されたことを発表

  • Cabenuva は、ウイルス学的失敗歴がなく、カボテグラビルまたはリルピビリンに対する耐性変異のない、ウイルス学的抑制が得られている HIV とともに生きる成人に対して、年間6回の治療によるウ イルス学的抑制の維持を可能にします。

2022 年2月1日英国ロンドン-GSK、ファイザー、塩野義製薬が資本参加するグローバルな HIV 領域のスペシャリスト・カンパニーであるヴィーブヘルスケアは、本日、成人における HIV-1 感染症治療に対する長時間作用型注射剤レジメンである Cabenuva(カボテグラビルおよびリルピビリン)の2か月毎使用の適応追加が米国食品医薬品局( FDA)から承認を得たことを発表しました。Cabenuva は、ウイルス学的抑制(HIV-1 RNA 量が 50 コピー/mL 未満)が得 られ、ウイルス学的失敗歴がなく、カボテグラビルまたはリルピビリンに対する既知の耐性変異のな い、もしくは耐性変異が疑われない、成人 HIV-1 感染患者に 2 ヵ月に 1 回投与を行います。

Cabenuvaは、最初の長時間作用型注射剤レジメンで、ウイルス学的抑制が得られた成人に対して、1ヵ月に1回投与のHIV-1治療薬として2021年1月に米国FDAに初めて承認されました1。本剤は、ヴィーブヘルスケアのカボテグラビル長時間作用型注射剤と、リルピビリン長時間作用型注射剤(ジョンソン&ジョンソンのヤンセンファーマの1社であるJanssen Sciences Ireland Unlimited Companyの製品)で構成されています。米国FDAの承認により、Cabenuvaは1ヵ月間隔または2ヵ月間隔投与が可能となりました。

ヴィーブヘルスケアの Head of North America の Lynn Baxter は、以下のように述べています。「ヴィーブヘルスケアは、HIVコミュニティの進化するニーズに対応する長時間作用型の革新的なHIV治療選択肢の研究開発において、引き続きリーダーシップを発揮できることを喜ばしく思います。本日の承認は、わずか10年前のHIV治療の状況を考えると、驚くべき成果です。HIV とともに生きる人々の中には、毎日経口薬を服用することに苦労している人がいます。Cabenuvaにより、そのような人たちがウイルス抑制を維持しながら、年6回の投与に減らすことができます。」

長時間作用型カボテグラビルおよびリルピビリンの2ヵ月間隔投与に対するFDAの承認は、1ヵ月間隔投与に対する非劣性が検証されたグローバルATLAS-2M第IIIb相試験の結果に基づいています2。48週目に血漿中HIV-1 RNA量が50c/ml以上となった被験者の割合をFDAスナップショットアルゴリズムにより比較した結果(Intent-to-Treat Exposed population)、2ヵ月間隔投与群(9/522人[1.7%])と1ヵ月間隔投与群(5/523人[1.0%])が同様の効果を示した(調整差: 0.8%, 95%信頼区間 [CI]: -0.6%, 2.2% )ことで非劣性と判断されました。また、主な副次評価項目であるウイルス学的抑制率は、2ヵ月間隔投与群(492/522例[94.3%])と1ヵ月間隔投与群(489/523例[93.5%])で同様でした(調整後差:0.8%、95% CI:-2.1, 3.7% )。長時間作用型カボテグラビルおよびリルピビリン投与群の2%以上に認められた主な有害事象(グレード1~4)は、注射部位反応、発熱、疲労、頭痛、筋骨格痛、悪心、睡眠障害、浮動性めまい、発疹でした。ATLAS-2M試験において、長時間作用型カボテグラビルおよびリルピビリンの48週間の1ヶ月間隔投与と2ヶ月間隔投与で、報告された有害事象の種類および頻度はほぼ同じでした。2ヶ月間隔投与群では、重篤な有害事象(SAE:27/522[5.2%])および有害事象による投薬中止(AE:12/522[2.3%])は、1ヵ月間隔投与群(SAE:19/523[3.6%]、AEによる投薬中止13/523[2.5%])の場合と同様でした。

ATLAS-2M Primary Investigator であるTurner Overton博士は、以下のように述べています。

「HIV とともに生きる人々の多くは毎日の治療に困難を感じていることから、内服薬の他の選択肢に関心を持っています。臨床試験において試験参加者の10人に9人は、前段階の経口導入療法としてカボテグラビルおよびリルピビリンを毎日服用するよりも、2ヵ月間隔投与が好ましいと回答しています。この回答結果は、長時間作用型レジメンがHIVコミュニティーの治療体系に重要な影響を与えることを示しています。」

臨床試験参加者の意向データが収集されましたが、長時間作用型カボテグラビル/リルピビリンの投与経験のないIntent-to-treat対象集団327名の患者の解析において、48週目に単項目質問への回答として、92%(300/327)が2ヵ月間隔投与の注射が好ましく、1%(4/327)が経口導入療法として毎日服用するカボテグラビルおよびリルピビリンが好ましいという結果になりました。なお、これらの結果は記述的なものであり、臨床的な意義を推測するためのものではありません。3

ATLAS-2Mについて(NCT03299049)

ATLAS-2M試験は、HIV-1に感染している成人1,045例を対象に、長時間作用型カボテグラビルおよびリルピビリンを4週ごと(1ヵ月間隔投与、同2ml投与)に48週間投与する群と比較して、8週ごと(2ヵ月間隔投与、各薬剤3ml投与)に投与する群の抗ウイルス活性および安全性が非劣性であることを評価するためにデザインされた第III相、非盲検、実薬対照、多施設、並行群間、非劣性試験です2。被験者は、初回もしくは2回目のレジメンで6ヵ月以上ウイルスが抑制されており、事前のウイルス学的失敗がない被験者を対象にしています。本試験の主要評価項目は、48週目にFDAスナップショットアルゴリズム(Intent-to-Treat Exposed [ITTE]集団)により、血漿HIV-1 RNA が50c/mL以上の被験者の割合です。

ATLAS-2M試験は、ヴィーブヘルスケアが実施する2剤レジメンの臨床試験プログラムの一つです。この試験は、オーストラリア、アルゼンチン、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、メキシコ、ロシア、南アフリカ、韓国、スペイン、スウェーデンおよび米国で行われています。

詳細については、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03299049を参照してください。

Cabenuva(カボテグラビルおよびリルピビリン)について

Cabenuva は、ウイルス学的抑制(HIV-1 RNA 量が 50 コピー/mL 未満)が得られ、ウイルス学的失敗歴がなく、カボテグラビルまたはリルピビリンに対する既知の耐性変異のない、もしくは耐性変異が疑われない成人 HIV-1 感染患者を対象とした注射剤レジメンです。Cabenuva は、2 種類の 筋肉注射用注射剤(カボテグラビル、リルピビリン)で、医療機関を受診した際に、医療従事者により同時に投与されます。

この注射剤レジメンは、ヴィーブヘルスケアが開発したインテグラーゼ阻害薬(INSTI)であるカボテグラ ビルとヤンセン社の非核酸系逆転写酵素阻害薬(NNRTI)のリルピビリンを組み合わせたものです。リルピ ビリンは、米国において、1 日 1 回投与の 25mg の錠剤として、他の抗 HIV 薬と併用し、抗 HIV 治療歴 のない12 歳以上で、ウイルス量が 100,000 HIV RNA コピー/mL 以下で体重 35kg 以上の患者を対象 に、承認されています。

カボテグラビルが含まれる INSTI は、ウイルス DNA がヒト免疫細胞(T 細胞)の DNA への組み込みを阻害することにより HIV の複製を阻害します。この過程は HIV の複製に不可欠で、慢性感染成立に寄与します。リルピビリンは NNRTI であり、逆転写酵素と呼ばれる酵素を阻害することにより、ウイルスの複製を阻害します。

長時間作用型カボテグラビルおよびリルピビリンは、カナダではCabenuva、EUではVocabria、Rekambysの名称で2ヵ月間隔投与の使用が承認されています。

商標はヴィーブヘルスケアのグループ会社が所有またはライセンス供与しています。

ヴィーブヘルスケアについて

ヴィーブヘルスケアは、英国グラクソ・スミスクラインと米国ファイザーによって2009年に設立された、抗HIV薬に特化したスペシャリスト・カンパニーです。 2012年10月に塩野義製薬株式会社が10%の持ち分を取得しました。ヴィーブヘルスケアは、どの会社よりも、HIV/AIDSについてより深い、幅広い関心を持つことで、新たなアプローチで効果的な新規のHIV治療薬を提供し、HIVの影響を受けているコミュニティを支援することを目指しています。詳細は、www.viivhealthcare.comをご覧ください。

GSKについて

GSKは、科学に根差したグローバルヘルスケアカンパニーです。詳細情報はhttps://jp.gsk.com/を参照ください。

参考文献
  1. Cabenuva (cabotegravir, rilpivirine) Prescribing Information. US Approval January 2022.
  2. Overton E, Richmond G, Rizzardini G, et al. Long-acting cabotegravir and rilpivirine dosed every 2 months in adults with HIV-1 infection (ATLAS-2M), 48-week results: a randomized, multicentre, open-label, phase 3b non-inferiority study. Lancet, 396(10267): 1994-2005. 9 December 2020. doi: 10.1016/S0140-6736(20)32666-0.
  3. Chounta, Vasiliki et al. “Patient-Reported Outcomes Through 1 Year of an HIV-1 Clinical Trial Evaluating Long-Acting Cabotegravir and Rilpivirine Administered Every 4 or 8 Weeks (ATLAS-2M).” The patient, 10.1007/s40271-021-00524-0. 31 May. 2021, doi:10.1007/s40271-021-00524-0

NP-JP-NA-PRSR-230006