治療の選択肢を理解する​

利用できるHIV治療薬のさまざまな種類を理解すると、治療の選択肢について医師と話しやすくなります。

現在のHIV治療に満足している場合でも、常に最新のHIV治療を把握し、主治医や診療チームと話し合うことは良い考えです。あなたのライフスタイルによりふさわしく、副作用が少ないまたは長期的な健康にとってより良い治療があるかもしれません。

自分に合ったHIV治療法をどのように見つけるか?

治療に関して言えば、自分に合った適切な選択肢を見つけることは、単にウイルス量を抑制したり、 検出されないようにしたりするためだけではありません。多くのHIVとともに生きる人々は、血中のウイルス量は検出されないレベルにコントロールされていますが、疲労・不眠症・悲しみ・性機能障害・外見の変化など、時間の経過とともに起こるかも知れない治療薬の副作用も多数報告されています。[4]

HIV治療はあなたとあなたのライフスタイルに合わせて行う必要があり、その逆ではありません。これには、服用する薬の組み合わせ・投与方法・ 投与タイミングなどが含まれます。治療が生活の質に影響を与えていると感じた場合は、診療チームに知らせることが重要です。

自分に合ったHIV治療法を見つけることは、服薬アドヒアランスの遵守・健康・精神的な幸福に大きな違いをもたらす可能性があります。

HIV治療薬の働き

HIV治療薬がHIV感染症の状態を管理し、ウイルスが血中に検出されないようにするためにどのように機能するかを理解することで、治療についてより多くの情報に基づいた判断に役立つようになります。

ここでは、利用可能なHIV治療法の種類と、それぞれが健康を維持するためにどのように働くかをざっと見てみましょう。

HIV治療には何が含まれていますか?

ウイルス(HIV)を抑制するには、HIV治療薬である抗レトロウイルス薬(ARV) を組み合わせて使用し、さまざまな方法でウイルスを抑制する必要があります。

HIV治療に関しては、数多くの選択肢があります。1 日に複数の錠剤を服用する方法もあれば、1錠のみ服薬する方法や注射薬もあります。また 、1 つの錠剤には1 ~4 種類の薬が含まれています[5] 主治医 はあなたと協力して、あなたが常に最善のHIV治療を受けられるようにします。

抗レトロウイルス薬(HIV治療薬)はどう作用しますか?

HIVが体内に入ると、可能な限り何度もウイルス自身を複製しようとします。これを行うために、ウイルスは免疫細胞(CD4+ T細胞) を攻撃し、それらを宿主としてその中にHIVを大量に複製するいくつものプロセスがあります。様々なHIV治療薬がそのプロセスの様々な時点で作用し、ウイルスの複製や増殖を阻止します。[6]

HIV感染症を治療するための抗HIV薬は30種類以上あります。これらは6つの薬剤クラスに分類され、それぞれが異なる方法でHIVを抑制します 。[6]

  • 侵入阻害剤

    これらは、HIVがCD4+ T 細胞に侵入するのを防ぎます。

  • CAI (カプシド阻害剤)

    カプシドはHIVの複製に必要なRNAや酵素等を包む容器のことです。そのカプシドが細胞内で開いて放出されることを防ぎます。また、新しいカプシドの生成も防ぎ、ウイルスの複製を阻止します。

  • NRTI (ヌクレオシド/ヌクレオチド系逆転写酵素阻害剤)

    ヌクレオシド/ヌクレオチドは、細胞が複製する際に使われる核酸(DNAやRNA)の構成成分です。HIV(ウイルス)の核酸に類似することで、HIVが自らの複製に必要な「逆転写酵素」という酵素の代わりに取り込まれ、その働きを阻止します。

  • NNRTI (非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤)

    これらはHIV(ウイルス)の逆転写酵素に直接結合してブロックして、HIVの複製を防ぎます。

  • INSTI (インテグラーゼ阻害剤)

    インテグラーゼは、HIVがT細胞に感染するために使われる酵素です。インテグラーゼ阻害剤は、ウイルスがヒト(CD4) 細胞のDNAに侵入するのを阻止します。

  • PI (プロテアーゼ阻害剤)

    これらは、HIVを正しく組み立てるのに必要なプロテアーゼと呼ばれる酵素に結合することによって機能します。HIVが正しく組み立てられていなければ、他の細胞に感染することができません。

自分のHIV治療にはどの成分が含まれているのか、またそれが体にどのような影響を及ぼす可能性があるのかを知ることが重要です。利用可能なさまざまな治療法については医師にご相談ください。

どのような時にHIV治療を変更する必要があるか?

新しいHIV治療法に切り替えることで、必要なバランスを見つけることができる場合があります。あなたが経験している課題や問題について医師に話し、利用可能な選択肢について話し合うことからプロセスを開始できます。

人々がHIV治療の選択肢を切り替える理由

人々がHIV治療の変更を決める理由はたくさんあります。ライフスタイルの要因・副作用・長期的な健康状態などです。単に時間の経過とともに治療ニーズが変化しただけかもしれません。HIV陽性で、年齢を重ねるにつれて他の健康状態のために複数の薬を服用している人は、全体で服用している薬の数を減らすために治療法を切り替えることがあります。[4]

切り替えの理由が何であれ、より良い選択肢を見つけるには、治療上の懸念と希望を主治医や診療チームに伝え、次に自分に合った治療法を見つけるために協力することから始まります。[4]

HIV治療薬を長期間服用することによる影響について心配していますか?

HIVとともに生きる人々は健康を維持するためにHIV治療薬の投与が必要なため、多くの人が生涯にわ`たる治療の影響を懸念しています。Positive Perspectives 調査では、調査に参加したHIV陽性者の4人に3人近くが、HIVがコントロールされている限りより少ない成分数でHIV治療を受けることに前向きであると述べています。[8]

これがあなたに当てはまれば、医師が最新の治療法についてアドバイスしてくれるでしょう。

HIV治療はあなたのライフスタイルに影響を与えていますか?

場合によっては、HIV治療薬が、あなたには明らかではない形であなたの生活に影響を与えている可能性があります。重要な症状を見逃していませんか?服薬のために食事の仕方が変わりますか?

上記のいずれかを経験した場合は、主治医や診療チームに知らせてください。治療があなたにとって最善の選択肢であり続けることを一緒に確認してください。

薬剤耐性を理解する

場合によっては、HIVが抗レトロウイルス薬に耐性を持つようになることがあります。これは、特定のHIV治療薬や薬剤の種類ではウイルスの複製を阻止できなくなり、ウイルス量が再び検出可能になることを意味します。このような事態が発生した場合、主治医や診療チームはあなたと協力して、HIV をコントロール下に戻すのに役立つ代替薬を見つけます。

服薬アドヒアランスを良好にすること、つまり毎日適切な時間に薬を服用することは、HIV薬剤耐性発生のリスクを最小限に抑える最善の方法です。ただし、治療を開始する前に、特定の抗レトロウイルス薬に耐性を持つウイルス株を持っている可能性はあります。これは、世界中でARTを開始する成人の最大10%に発生すると推定されています。[1]

HIV薬剤耐性について懸念がある場合、または治療ルーチンがうまく機能していないと感じた場合は、主治医や診療チームに相談してください。良好な治療ルーチンを維持するための便利なヒントについては、「順調に進むためのヒント」を参照してください。

治療の選択肢を理解する​
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こちらもご覧ください

薬が違えば、薬物間の相互作用や、短期的・長期的な副作用も異なる可能性があります。これらはHIVの治療に使用されている薬が原因である可能性があり、あなたが何か間違ったことをしているからではありません。

処方されたとおりに治療を継続することが、HIVケアが順調に進むための最良の方法です。治療や通院をきちんと守ることでウイルスは検出されず、全体的な健康の維持につながります。[1,2]

今日、HIVとともに生きるほとんどの人々にとって、健康に人生をまっとうすることは達成可能な目標であるはずです。[3]これは、あなたの健康状態と治療のニーズが時間の経過とともに変化することを意味しているかも知れません。

参考文献:

  1. Avert. What does undetectable mean? March 2019. Available at: https://www.avert.org/living-with-hiv/antiretroviral-treatment/what-does-undetectable-mean. [Accessed: Jan 2024].
  2. Schaecher KL. Am J Manag Care. 2013;19:S231–S237.
  3. National Health Service. HIV and AIDS. Available at: https://www.nhs.uk/conditions/hiv-and-aids/. [2024年1月閲覧]
  4. Erdbeer G, et al. J Int AIDS Soc. 2014;17:19673.
  5. NAM AIDSMAP. One-pill-a-day HIV treatments. Available at: https://www.aidsmap.com/about-hiv/one-pill-day-hiv-treatments. [2024年1月閲覧].
  6. NAM AIDSMAP. Types of antiretroviral medications. Available at: https://www.aidsmap.com/about-hiv/types-antiretroviral-medications. [2024年1月閲覧].
  7. Avert. How HIV infects the body and the lifecycle of HIV. Available at: https://www.avert.org/about-hiv-aids/how-infects-body/ [2024年1月閲覧.]
  8. Okoli C, et al. Prev Chronic Dis 2020;17:190359.

NP-JP-HVU-WCNT-240017 | 作成年月2025年2月

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